研究課題/領域番号 |
08309006
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 俊夫 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40027553)
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研究分担者 |
山里 純一 琉球大学, 法文学部, 教授 (50166659)
上江洲 均 名桜大学, 国際学部, 教授 (60279429)
三浦 國雄 大阪市立大学, 文学部, 教授 (60027555)
都築 晶子 龍谷大学, 文学部, 教授 (00115601)
伊従 勉 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教授 (00151689)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 沖縄久米島 / 家文書(沖縄久米島) / 日選び / 風水 / 医学書 / 文化媒介 / 知識人(沖縄久米島) / 琉中日文化交流 |
研究概要 |
久米島の文化が沖縄、琉球王国の世界の中で占める位置を明らかにするため、新たに公開された4家の家文書(上江洲家、吉濱家、與世永家、宮城家)約2000点の解読分析と、祭祀を中心とするフィールド調査とをふたつの柱として研究活動を展開した。中国や日本の類書研究家をも交えた研究組織をあげて重視したのは、久米島の知識人が、自島の文化と中国、日本、首里・那覇・久米村の諸文化とを媒介する局面であった。 得られた成果はつぎの2点である。1.久米島の識者男性が担った東アジアの多様な文化の重層は、術数を核にしていたことを解明。2.その術数に支えられた家の主が中心となる祖先神や火神の祭祀では、縁者である神女集団もかかわりを持ち、その媒介力が島の生活文化の基層に新たな力を与えるしくみになっていたことを解明。 1. における学術的寄与はとくに次の事柄が初めて明らかにされたことである。(1)日選びにおける玉匣記(中国)と大雑書(日本)の知識の共存の態様、(2)中国東南部とはまったく同一とは言えない風水法の実際、(3)地方役人層における中日琉の医書の体系的収集。 2. における重要な寄与は次の諸点の具体的な解明である。(1)地方役人家を中心とする易占と祈願の実態、(2)地方役人層と神女との精神世界における協同、(3)建築空間にみられる中日琉諸文化の共存。 なお、これまで城跡表層で採集されたままであった陶磁器片の精査もおこない、13-14世紀の久米島各地の城が、東アジアの交流拠点として沖縄本島におとらず重きをなしていたことを明らかにした。 以上の成果は、文書研究とフィールド調査の合体がようやく始まりだした沖縄文化研究を一段と豊かにするとともに、東アジア文化交流の創造性の解明という大きな課題への、ひとつの里程を築いたと言える。
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