研究課題/領域番号 |
08353001
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研究機関 | 統計研究会 |
研究代表者 |
篠原 三代平 (財)統計研究会, 東京国際大学・会長, 名誉教授 (70054236)
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研究分担者 |
柳原 透 法政大学, 経済学部, 教授 (00230269)
丸山 伸郎 アジア経済研究所, 動向分析部長
下村 恭民 埼玉大学大学, 院政策科学研究科, 教授 (60241923)
小浜 裕久 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40201488)
小林 進 東洋学園大学, 英米地域研究学科, 教授 (50265526)
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キーワード | 直接投資主導型成長 / 域内自己循環メカニズム / 香港返還 / 産業空洞化 / 輸出志向型工業化 / 国有企業の抓大放小 / 両岸関係 / 一国二制度 |
研究概要 |
1990年代の東アジア経済は新しい成長局面へ移行した。85年のプラザ合意以後の円高を背景に、日本から東アジア諸国への直接投資が急増した。これを契機に、アジアNIEsからASEANや中国に対する直接投資も増加した。これらの投資は従来の輸入代替型から輸出志向型に転じてその工業化を推進した。この結果、マレーシアやタイなど直接投資受入れ国から日本向けやアジアNIEs向けに、機械類など工業製品の輸出が活発化した。また、中国からも香港経由の輸出が急増した。かくして、日本、アジアNIEs、ASEANに中国も加わって東アジアでは域内の「経済的インテグレーション」が強化されてきた。従来のようにアメリカ市場や日本市場への輸出に多くを依存するシステムから離脱して東アジアの域内の「自己循環メカニズム」が展開されるようになったのである。 第1章では、以上のような東アジア各国経済の相互依存が高まった構造的変化を明らかにした。第2章ではとくに機械製品の輸出/輸入比率などによって後発国のキャッチアップの状況を明らかにしている。第3章では、日本とタイのケース・スタディによって、直接投資急増のもたらす経済関係の変化ばかりでなく、非経済関係に及ぼした影響を明らかにした。第4章では中国の改革開放によって、とくに直接投資受入れにともなう影響を論じ、国有企業の経営状況などの問題点が指摘されている。第5章では、香港返還への経緯と返還後の問題点、とくに国際金融市場としての将来などを検討している。第6章では、東アジアにおける日本企業の事業所立地の推移について実証的な調査を試みた。 以上は、世界の成長センターといわれるまでになったアジア経済の成長持続性の分析を目的とする「国際共同研究」へ進むための「予備的研究」としてまとめられたものである。
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