研究課題/領域番号 |
08357003
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
各務 伸一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10115545)
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研究分担者 |
脇田 隆字 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40280789)
小原 道法 東京都臨床医学総合研究所, 室長 (10250218)
石川 哲也 愛知医科大学, 医学部, 助手 (10288508)
吉岡 健太郎 名古屋大学, 医学部, 助手 (60201852)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / トランスジェニックマウス / スイッチング発現 / 蛋白発現 / 肝細胞障害 / 免疫反応 |
研究概要 |
患者血清よりクローニングしたHCV遺伝子(cDNA)をもとに、全遺伝子領域(CR)、core、E1、E2/NS1、NS2を含む領域(CN2)、NS2、NS3、NS4を含む領域(N24)を、それぞれ導入したトランスジェニックマウス(TgM)を作製した。founderの数は、現在、CR-TgMが1、CN2-TgMが8、N24-TgMが11である。Cre/loxPスイッチング発現のシステムを用いているため、導入遺伝子にコードされた蛋白の発現にはCreの同一細胞内での発現が必要となるが、これはCre遺伝子組換アデノウイルス(AxCANCre)を感染させることにより行った。founderのうち、in vitroで、蛋白発現が確認されたのはCR-TgMで1、CN2-TgMで2であった(N24-TgMは未検索)。in vivoの実験は、主に、CN2-TgMを用いて行った。AxCANCreをTgMに靜注することにより、感染細胞において蛋白発現が開始されるが、この方法により、HCVの構造蛋白が主に肝臓内で発現することを蛍光抗体法、ウエスタン・ブロット法にて確認した。肝細胞でのHCV core蛋白の発現は、AxCANCre靜注後、7日目でピークに達した。また、7日目より急激なALT値の上昇も認められ、肝組織像の解析ではクッパー細胞、T細胞の浸潤を伴う肝細胞死が観察された。この肝細胞死がcore蛋白発現細胞に起こっていること、その形態が、アポトーシスであることなども組織学的に確認された。現在、これがcore蛋白の発現それ自体によるものか、あるいはHCV蛋白特異的CTLなどによる免疫反応なのか等につき、検討中である。スイッチング発現システムを利用したTgMモデルは、HCV感染時の肝障害発現機構の解析に非常に有用なモデルであることが確認された。
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