研究課題/領域番号 |
08401004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 御代明 京都大学, 文学研究科, 教授 (20031669)
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研究分担者 |
尾入 正哲 京都府立大学, 福祉社会学部, 助教授 (70185180)
山下 博志 京都大学, 文学研究科, 助手 (70239979)
藤田 和生 京都大学, 文学研究科, 助教授 (80183101)
乾 敏郎 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30107015)
苧阪 直行 京都大学, 文学研究科, 教授 (20113136)
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キーワード | カテゴリー獲得 / カテゴリー使用 / 情報の階層構造 / 情報表象機構 / 情報補完 / 種間比較 / 時空間境界形成 / 3次元物体表象 |
研究概要 |
1)既存のカテゴリ学習モデルの検討:カテゴリー学習の代表的モデルとして、GCM(Generalized Context Model)とGRT(General Recognition Theory)をとりあげて、その特性を検討し、両モデルか、人間の認識の仕方を静的なものとして捉えている点を指摘して、カテゴリー知識の獲得によって認識の仕方が実際に変化する実験結果を示した。2)認識空間の変化の水準:カテゴリー学習は、知覚水準と、より高次の認識の水準とに異なる影響を及ぼし、さらに同じ認識の水準内でも個々のカテゴリーごとに個別の影響をもつ。今回の研究では、知覚水準での変化はあまり見られなかったが、認識水準での変化は顕著で、個々のカテゴリー内の個別の変化の兆候も見られた。3)3次元物体の脳内表現:CGで作成した3次元折れ棒図形の再認実験の結果、正答率の高い景観が自発的に現れ、このような景観は典型性評定の結果ともほぼ整合した。また、回転角度を変数とする正答率曲線を非線形回帰分析すると、σの等しい(約30度)4個のガウシアンで近似でき、その中心には、典型的景観に近いものが含まれていた。このσの大きさはLogothetisら(1995)がITで測定した特定の景観に反応するニューロンのチューニングカーブのσにほぼ一致し、このことから、典型的景観を含む複数の景観を中心とする脳内表現が示唆された。さらに、物体の全ての景観間の類似度評定結果をMDS分析すると、互いに類似度の高い景観が最も密集したところに典型的景観が位置した。よって典型的景観は回転によってみえがあまり変化しない"generic view"に当たり、このような景観を脳内表現に選ぶことで、少ない記憶量で物体の広い範囲を表現することができるといえる。4)チンパンジーの時空間的境界形成:チンパンジーの時空間的境界形成(ランダムドットの物理曲属性を仮想的な図形を移動させて次々変化させると、図形の輪郭が明瞭に知覚される現象)の過程を分析し、ヒトと同様、毎秒提示されるフレーム数によって、輪郭の知覚が変わることががわかった。
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