研究概要 |
本年度の実施計画に基ずいて研究に取り組んだ結果以下の如き成果を得た。 1) 本年も昨年に引き続き筑波大学早坂研究室の協力に依って,収集資料の吃音highrisk群(33名)と吃音low risk群(533名)合計566名について,情報を分析した。情報は既に標準化されている「親子言語関係診断テスト」(拙著)のなかから抽出され調査項目について,両群に関連する領域が「U-1;A-2」に属する事例収集の分析に有効か検討することを目的としたが、残念ながら確とした資料はえられなかった。 2) 以下のような結果が得られた。 a.親子言語関係診断尺度項目の因子分析から,3因子が抽出された。第1因子は規範性の因子,第2因子:受容性の因子,第3因子:過保護性の因子と推定されたが,抽出調査項目数が不足したこと。項目数の増量が必要と判断された。 b.内須川がかねてから主唱している「吃音の言語関係に関する環境仮説」は支持されるが,これに加えて他の臨床的方法を付加的に使用する工夫が求められた。 3) 「U-1;A-2」に属する事例収集のためには,high risk群に関する更に精密な分析が重要となること。更に長期的アプローチが必要になろう。また、精度の高い多角的な簡易テストの開発と臨床的方法のマッチングが次年度への課題となろう。
|