研究概要 |
本研究は,平成8年度〜平成11年度に亙る4年間,科学研究補助金の支給を受けて実施されたものである。当初の研究計画に比べその規模を縮小せざるえなかったが、凡そ以下の如き成果を得たので報告する。 1)筆者が考案した"吃音児(幼児・学童)に関する臨床診断仮説U"が,その適用方法の工夫によっては,吃音の発生予防研究に有効である。 2)筑波地区で実施された約200O例(正常児,吃音児,疑似吃音児群)に関する研究分析では,かねて主唱している「吃音関係に関する内須川仮説」は支持された。 3)U仮説の類型化によって産生された「U-1:A-2」タイプは,超軽度(発生直後)症例を示峻する手掛かりを得たが,このタイプの入手が極めて困難である。 4)「U-1:A-1」に属する症例収集には,吃音のhigh risk群に関する更に精密な分析が重要となる。このためには長期的アプローチが予想される。 5)吃音の発生予防条件には,U仮説の類型化診断のうち2つの仮説を提示したい。 仮説(1):「自然治癒」は「U仮説」によれば「A-1」:「U-1」の類型条件に該当する。 仮説(2)「吃音の予防」とは,「U仮説」によれば「A-2」から「A-1」へ,「U-2」から「U-1」へ移行することである。 6)吃音予防研究には,わが国で実施されている"健診制度"が貴重なチャンスを提供しうるので,近い将来,是非,"聴能言語士"の参加を義務づけて欲しいものである。
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