研究課題/領域番号 |
08401013
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
戸沢 充則 明治大学, 文学部, 教授 (60061868)
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研究分担者 |
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 助教授 (10221730)
安蒜 政雄 明治大学, 文学部, 教授 (00183153)
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キーワード | 縄文時代 / 黒耀石 / 原産地遺跡 / 黒耀石採掘址 |
研究概要 |
平成10年度は、長野県小県郡に所在する鷹山黒耀石原産地遺跡群における黒耀石採掘址群の測量調査を行った。測量調査は、1992・93年度に採掘址群の一部に対して既に実施されている。本年度の調査は、黒耀石採掘址群の分布範囲を確定すると共に、一つ一つの採掘址がどのような形状をなしているのか、この二点を調査の目的とし、測量調査を行った。全ての地形を20cmコンターにより記録し、凹み状地形の形状を測量図に記し、通し番号をつけた。 その結果、縄文時代に属すると思われる、黒耀石採掘の痕跡である採掘址群の分布は、約43,000m^2の広さに達することが判明し、採掘址の個数も合計195基が確認された。いいかえれば、上記の面積は、金属を知らない石器時代に人為的に改変された地形の広がりということである。先史時代における、採掘遺跡の範囲を明確にした調査例はこれまでになく、特に近年、周辺の黒耀石原産地で同様の遺跡の発見が相次いでいることを考えると、今後の研究に資する大きな成果をあげることが出来たと思われる。 一方、測量調査で捉えられた、個々の採掘址の形状は、それぞれバラバラな形状をしているのではなく、一定の微地形的な特徴を共有していることがわかった。その中でも、規模の違いから大きく3種類の類型に分類することもできた。最も大規模な採掘址は分布の中心を占め、顕著な地表面の起伏を作り出している。中規模な採掘址は分布のほぼ全体に広がり、凹み状地形の広がりの大部分を作り出している。そして、最も小規模な採掘址が分布全体を周辺部から取り囲むように密集して分布している。このような、採掘址の全体的な分布構成を復元することもできた。 前年度の調査で、採掘址の地下に埋没していた採掘のための竪坑を発掘し、その形状や採掘の過程を復元した。今後は、地表面にひろがる採掘址群の具体的な形成の過程を追求していく必要がある。
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