研究概要 |
本年度の研究実施計画は,データベースの作成を除いて現時点でほぼ達成しました。 ベンゼン-液体シンチレーション法による放射性炭素年代測定過程のうち,ベンゼン合成に至る過程のルーティン化は実現しました。Srカーバイド法での収率モードは90%,アセチレンからベンゼンへの合成は95%以上を示しています。また、測定試料からベンゼン合成に至る過程の全収率は65%です。 さらに、現在検討中ですが,試料から直接にリチウムカーバイドを作成し、そのままトリチウムフリー水を滴下してアセチレンを発生する反応管を設計しました。この反応過程によって,全収率が80%近くになることが期待されます。 測定試料は既存および豊岡盆地産のものです。本年の主要な現地調査は兵庫県豊岡盆地を主とする円山川流域で,昨年の9月及び10月に実施しました。その際,現地表面から5mまでの浅層ボーリングを行いましたが、内陸部にも関わらず海成層に達しました。現在,採取した資・試料の分析を実施しています。 液体シシチレーション法については現在,外部標準法による放射性炭素核種の定量法を検討中であり,統計上の年代誤差については3000年前の試料でlσ40年以内が可能となります。なお,通常精度のベンゼン-液体シンチレーション年代測定過程は、すでに実現しています。 データベースの作成については,個々人の研究に展開が見られるものの,取りまとめるには至らず,当初の計画を十分には達成することができませんでした。今後,取り急ぎ個別地域でのデータベースモデルを作り上げて,他の地域にも及ぶように調査研究を推進します。
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