研究課題/領域番号 |
08403001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 昌久 京都大学, 経済研究所, 教授 (90281112)
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研究分担者 |
中川 大 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30180251)
田渕 隆俊 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70133014)
石川 義孝 京都大学, 文学研究科, 教授 (30115787)
森 知也 京都大学, 経済研究所, 助教授 (70283679)
黒田 達朗 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00183319)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1999
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キーワード | 空間経済システム / 複雑系 / 自己組織化 / ハブ効果 / 多国籍企業 / 大都市圏空間構造 / 国際地域モデル |
研究概要 |
1.新しい空間経済学の中心概念は、規模の経済と輸送費用との相互作用により内生的に生じる「集積の経済」である。この集積の経済により、各々の集積は立地空間においてロックイン効果を及ぼし、地域経済システム全体は、強い慣性を持った一つの空間構造を具現する。しかしながら、地域経済システムの持つこの強い慣性は、必ずしも長期的な構造変化を否定するものではない。一般に、長期的にはあらゆる空間レベルにおいて、大きな構造変化を繰り返しながら変容して行く。この空間構造の変化は、各々の既存の集積の持つロックイン効果を反映して、経路依存的であり、初期状態が将来の空間構造の形態を左右する。しかしながら、一つの比較的まとまった地域経済全体は、長期的には、一つないし複数のコア地域を頂点に持つ、多階層的な空間構造を自己組織化して行く傾向にある。一般に、この多階層システムは自己相似的な構造を持ち、多くの異なった部分空間において同様な構造、特にコアー周辺型の構造が観察される。 2.現在の東アジアにおける国際地域経済システムとしての空間構造は、1960年代まで日本がアジアにおける唯一の先進工業国であった、という歴史的事実に大きく規定されている。60年代末以降、日本をコア経済として、いわゆる雁行形態的な産業移転を伴いながら、東アジアの経済全体は急速に成長してきた。しかしながら、アジアNIES、ASEAN、そして80年代から中国の、急速な経済成長が達成されてきた現在においても、東アジア全体の地域経済システム全体は、マクロ的に見れば、依然として日本を中心とする一極集中型であり、日本は強い集積力を持つコア経済としての存在を維持している。しかしながら、将来において、ASEAN及び中国における製造業がさらに伸び、集積の経済を本格的に発揮するようになると、東アジア全体の地域空間構造に大きな変化が起こる可能性が十分ある。
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