研究課題/領域番号 |
08404005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三村 昌泰 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50068128)
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研究分担者 |
木村 正人 広島大学, 理学部, 講師 (70263358)
柳田 英二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (80174548)
稲葉 寿 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (80282531)
山田 道夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90166736)
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
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キーワード | 特異極限法 / パターン解析 / 無次元力学系 / 界面方程式 / 伝染病モデル / 境界追跡法 |
研究概要 |
本年度の研究計画は昨年度の成果に引き続き、以下の研究を行った。(1)まず昨年行ったBelousov-Zhabotinsky非平衡化学反応系に出現する螺旋波パターンの研究に動機付けられて、生態系に現われる競合種の螺旋棲み分けパターンダイナミクスを考察を行った。凸領域においては、強競合下での2種系は決して共存することなく、どちらかの一種のみが生き残ることが、実験(Gauseの競争排他律)および理論解析から示されている。我々は多種系解析の第1歩として、3種系を対象とした。得られた結果は、3種が3すくみの競合関係があるときには、triple junction areaが出現し、そこをcoreとして、螺旋波が発生することが示された。(2)反応拡散系におけるパルスダイナミクス解析を界面だけの:方程式に縮約させることから、進行パルスの不安定化による振動進行パルスの出現、パルスの反射等新しい現象の解析を可能にした。そこで用いる手法は漸近解析による特異極限および計算機シミュレーションである。得られた結果は昨年開発された動画化システムによってヴィデオ化されており、多分野の研究者との研究交流に有効に用いられている。(3)応用解析の立場から特異極限解析の研究の一つに力学系の大域アトラクターの解析がある。本研究では、大域アトラクターは平衡解、周期解およびそれをつなぐヘテロクリニック軌道のみの合併集合として表わされること、しかもその全体が有限次元多様体の構造を持つことを明らかにした(4)曲率方程式の解析は最近、反応拡散系に対して、特異極限から導出した界面(特異曲面)の解析と密接なつながりを持っている。本研究では界面を境界追跡法による数値計算法を提案し、その理論的保証を与えている。更に、(5)反応拡散系における特異曲面解析、(6)伝染病の数理的研究、(7)離散非線形可積分系の解析等々、数理科学的視点に立って、幅広い数理解析を発展させた。
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