研究分担者 |
大山 陽介 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10221839)
村上 順 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90157751)
小松 玄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60108446)
松村 昭孝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60115938)
日比 孝之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80181113)
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研究概要 |
主として数式処理のソフトウェア:Mathematica,Maple,Macsymaを用いて,数論・代数幾何学・保型関数・リーマン面・暗号理論の基本計算を実行するプログラムの作成を行った.とくに実効速度が要求されるものについてはC言語によるプログラムも作成した.それらを用いて多くの数学実験を行い,いくつかの非常に興味ある結果が得られた. 1.代数的整数論に関して:(1)実二次体に関するクロネッカーの極限公式の数値的計算と類体の基本単数の決定.(2)有理数体上の二面体群をガロワ群にもつ拡大体の単数群の構成,など.実二次体上の極限公式の精密な数値的計算により,ゼータ関数の特殊値による基本単数の決定・類体の構成などの問題がかなり具体的に実験できるようになった. 2.楕円曲線の整数論に関して:有理数体上定義される楕円曲線に対して,標準的なべき級数解の存在を示した.谷山-志村予想が成り立つ場合,そのべき級数により,楕円曲線が保型関数により一意化される.標準的べき級数は構成的アルゴリズムにより与えられる.副作用として,合同ゼータ関数の計算なしに,楕円曲線のゼータ関数が得られる.これは,Wilesの方法以外の谷山-志村予想の解決の可能性を示唆している.さらに,標準的べき級数は楕円曲線における自然な整数論的性質を与えることが観察されている.このことは,将来,楕円曲線のグローバルなゼータ関数の定義の可能性を秘めていると期待される. 3.数式処理における複素関数の表示の実現と応用に関して:すでにMathematicaやMapleで実現されていた複素関数の表現は,一般にあまり注目されていなかったが,グラフを用いて,リーマン面の具体的表示,複素べき級数や各種の複素関数の幾何学的性質,例えば保型性,の研究が具体的に行えるようになった.その応用として,上記の標準的べき級数解のみたすべき保型性が実験的に予想できるようになった.
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