研究概要 |
本研究課題において遂行した実験は平成10年2月に、最後の電子同定用検出器、後段ガスチェレンコフカウンターと後段電磁カロリメータがインストールされ、スペクトロメーターとして最終的に完成した。平成10年5月より、φ-e^+e^-とφ→A^+K^-の両チャンネルで、3rd-levelトリガーを含めた最終データー収集ストリームが導入され本格的なデーター収集を開始した。このトリガーの導入に当たっては、ハードウェアー記述言語、VHDLを導入しField Programable Gate Arrayを駆使し粒子の運動量と飛行時間相関からK粒子対を選択的に選ぶ試みが成功した。この実験は平成12年度まで継続し、随時、統計を上げたデータを公表していく。これまでの研究実績を略記する。まず、この実験はユニークな検出器開発を含んでおり、その研究成果は 1: 屈折率1.03のエアロジェル大量製作(500L)技術と特性(石野雅也、1997.3.第52回年会) 2: 電子同定の為のsegment化されたGas Cherenkov検出器の開発(三原智、1995.3.第50回年会) 3: VHDLを用いて実装したHigh Level Trigger Systemの構築 (K粒子の質量同定)(吉村善郎、1998.3.第53回年会) 4: Lattice isp LSI3256を用いたe^+e^-トリガー回路の製作(田原司睦、1996.3.第51回年会) 5: KEKPS E325実験のためのceramicを利用したdrift chamberの製作(小沢恭一郎、1995.9.秋の分科会) として物理学会において発表され、特に1および3に関して実際の実験でのオペレーションを取り入れた形での論文を現在投稿準備中である。実験で収集したデータののプレリミナリな結果をまとめたものが、学会報告; 6: KEKPS E325 phi粒子崩壊を用いた中間子質量に対する核物質効果の測定(V)(石野雅也,1998.3.第53回年会)されており、又、筑波に於ける国際会議(1997.12 Quark Matter 97)のoral presentationに選ばれたものとして、 7: Measurement of φ meson decays in nuclear matter at KEK-PS(S.Yokkaichi et al.,Nucl.Phys.A648(1998)435c)を行なっている。更に平成10年度のデータ解析の最新報告として以下のものがある。 8: phi粒子崩壊を用いた中間子質量に対する核物質効果の測定(成木恵、1998.9.秋の分科会) 9: K Meson Modification in Nuclear Media and QCD Chiral Symmetry Restoration (II.Enyo et.al.,Proc.of the KEK-Tanashi-International Symposium,Dec.1998,Nuclear Phys to be published)
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