研究課題/領域番号 |
08404014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩田 豊 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80027432)
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研究分担者 |
小野 正義 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70027415)
田崎 誠司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (40197348)
海老 沢徹 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30027453)
河合 武 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (20027436)
秋吉 恒和 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (40027420)
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キーワード | 量子プリセッション / スピンスプリッター / 冷中性子 / スピン干渉計 / 量子ビ-ト / 位相エコー / スピンエコー |
研究概要 |
本研究グループは、中性子波を量子力学的に異なる二つのスピン固有状態によって分波し、それらをコヒーレントに重ね合わせることにより生じる多様なスピン干渉現象の観測並びにその応用研究を行っている。本研究の目的は、その一環として、高性能の位相-スピンエコー干渉計を開発すると共に、その応用として、小型で高性能のスピンエコー分光器の開発並びに基礎物理研究への応用である。そのために本年度は、研究計画に従って以下の研究が実施された。その進行は順調と評価される。 (1)京大原子炉実験所の原子炉に加えて、より高性能の研究炉である原研JRR-3炉にスピン干渉実験を行うためのスピン干渉計が設置された。京大炉の装置は主として、開発研究に、原研炉の装置は、主として精密データの取得に用いられる。(2)本研究グループにより見いだされた中性子スピンの「量子回転」は、磁場と無関係に生じる量子力学的現象である。量子回転は、多層幕スピンスプリッターの光学的効果により生成されるが、回転に必要な距離が極めて短いことが特徴である。(一回転に必要な距離はおよそ10ナノメーターである)。今年度は、ギャップ層厚として2ミクロンまでのスピンスプリッターが開発、製作されると共に、これらを用いて高性能の位相-スピンエコー干渉計が製作された。(3)位相-スピンエコー干渉計は、スピンエコー分光器としての特性を持っているが、次年度に予定されるそのための特性測定の準備は終了した。(4)位相エコー干渉計を用いたLate choice experimentは実施され、分波される中性子波の経路は決定されないことが実証された。(5)冷中性子スピン干渉実験の応用として冷中性子による量子ビ-ト実験法が開発された。この方法は極低エネルギーの物理現象の研究に適してると期待される。
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