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1998 年度 実績報告書

パラポジトロニウムの寿命測定

研究課題

研究課題/領域番号 08404016
研究機関広島大学

研究代表者

遠藤 一太  広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (90033894)

研究分担者 後藤 公徳  広島大学, 放射光科学研究センター, 教務員 (30284227)
吉田 勝英  広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (90029489)
飯沼 昌隆  広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (00294512)
高橋 徹  広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (50253050)
キーワードポジトロニウム / コヒーレント生成 / 対創生 / パラメトリックX線 / 量子電磁力学
研究概要

1. ポジトロニウムの解離による電子陽電子対を検出するための装置を高エネルギー加速器研究機構田無分室に搬入して、最高エネルギー350MeVの制動放射による対創生断面積の光子エネルギー依存性を測定した。標的は面方位(100)のシリコンで、厚さは160ミクロンおよび40ミクロンのシリコン単結晶である。全データの数分の一にあたる電子陽電子が等しいエネルギーをもつ事象について解析をおこなった結果次のことが明らかになった。(1)光子エネルギー238MeVにおいて断面積が急に増大する。(2)結晶を薄くし、小角度方向の電子陽電子対を選択的に検出したとき、断面積増大度はさらに大きくなる。
2. 上記の結果は、電子ビームと結晶軸が平行な場合に期待される「Bタイプコヒーレント生成効果」の存在の世界初の明確な検証となっている。今後、電子と陽電子が異なったエネルギーを持つ事象も解析し、理論と比較することにより、X線回折の消滅則に対応する関係式が対創生過程でも成立するかどうかを明らかにすることができる。
3. この実験の成功は、パラポジトロニウム寿命測定に用いる電子陽電子測定装置が正しく動作することを意味すると同時に、パラポジトロニウムコヒーレント生成理論が基本的に正しいことを示唆している。
4. 広島大学ベンチャービジネスラボラトリーの電子周回装置の引き出しラインおよびその制御系の整備を行い、内部結晶標的から発生するパラメトリックX線の観測に成功した。このとき、標的結晶を160ミクロンシリコンから16ミクロンの結晶10枚に変えるとX線強度が2-3倍に増大することがわかった。このような現象は既に900MeV電子を用いたわれわれの実験で既に見出されているが、今回の150MeVでの結果は、増大メカニズムを考察する上で有用なデータとなる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] K.Yoshida et al.: "Positron Production in Tungsten Crystal by 1.2GeV Channeling Electron" Physical Review Letters. 80. 1437-1446 (1998)

  • [文献書誌] Yu.L.Pivovarov et al.: "On the possible experiment on coherent production of relativistic positronium in a crystal" Nuclear Instruments and Methods in Phys.Res.B145. 80-91 (1998)

  • [文献書誌] B.N.Kalinin et al.: "Investigation of Positron Generation by Relativistic Electrons in Aligned Crystals" Nuclear Instruments and Methods in Phys.Res.B145. 209-220 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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