研究課題/領域番号 |
08404022
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本河 光博 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30028188)
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研究分担者 |
ラニエロ ピッティーニ 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30271985)
太田 仁 神戸大学, 理学部, 助教授 (70194173)
鈴木 孝 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004344)
光藤 誠太郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60261517)
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キーワード | 重い電子系 / サイクロトロン共鳴 / Yb_4(As_<0.60>P_<0.40>)_3 / Yb_4(As_<0.71>Sb_<0.29>)_3 / 少数キャリヤ-系 |
研究概要 |
コーンの理論によると、比熱やd.H.v.A効果の測定により得られる重い電子系の電子の見かけの質量が、サイクロトロン共鳴で実験的に得られる値と一致する必然性はない。サイクロトロン共鳴で個々の電子の本当の質量を調べることは強い相関を持つ物質の一つの側面から大きな情報を得る手がかりになる。サイクロトロン共鳴実験のためには強磁場、超低温、高感度ミリ波・サブミリ波分光という技術が必要で、定常強磁場と昨年度準備したベクトルネットワークアナライザーを用いて研究を行った。今年度はまず実験のやりやすい物質からという観点からYb_4As_3、Yb_4Sb_3、Yb_4P_3の混晶を取り上げた。Yb_4As_3はγが205mJ/molK^2であり、重い電子系と考えられているが、キャリヤ-の数は少ないので4fモーメントをスクリーンするには不十分な系である。Yb_4(As_<0.60>P_<0.40>)_3において、最初パルス磁場で実験を行ったところ95GHzでは2.04Tに温度依存する吸収がみられ、これは0.60m_eに対応する質量のサイクロトロン共鳴であると結論できた。これは135と190GHzでも観測された。これはYb_4As_3のサイクロトロン質量0.72m_eと比べてみるとリ-ゾナブルであると思われる。この物質ではpバンドは埋まっており、この0.60m_eは4f電子のキャリヤ-から来るものと考えられる。ベクトルネットワークアナライザーを用いた実験では、2.04Tでの吸収が二本に分かれることが判明し、それぞれ0.51m_eと0.74m_eのサイクロトロン質量に対応する事がわかった。Yb_4(As_<0.71>Sb_<0.29>)_3では18Tまで測定を行ったがサイクロトロン共鳴と思われる吸収は観測されなかった。これはサイクロトロン質量が、5.3m_eよりも大きいことを意味している。一方この物質では電磁波の透過率がYb_4As_3やYb_4(As_<0.60>P_<0.40>)_3に比べ非常に強う温度依存性を示す。135,190,404,584.8GHzでも同様であり、これはフェルミ準位のキャリヤ-電子が非常に強い相関を持っているためであると考えられ、遠赤外分光実験の結果とコンシステントである。
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