研究概要 |
1.近藤半導体の単結晶育成と精製 YbB_<12>の単結晶育成法を確立し、室温と1.3Kでの電気抵抗の比が150,000に達する良質な結晶ができた。CeNiSn単結晶は本年度導入した固相電解精製装置を用いて精製した。CeRhSbとCe_3Bi_4Pt_3はブリッジマン法によって大型の単結晶育成に成功した。 2.極端条件下での物性測定と解析 (1)YbB_<12>は立方晶であるにも拘わらず50T付近で起こるメタ磁性転移磁場が結晶方位によって異なる。<111>方向で最も磁化のジャンプが大きく、この方向に於いて、14meVの中性子非弾性散乱の強度もピークを持つ。 (2)CeNiSnの基底状態の少数キャリアーは、0,5K以下で特異な磁場共鳴散乱を示す。CeあるいはNiサイトを僅か1%置換するとキャリアーは局在する。これらの結果は異方的ギャップモデルを支持する。圧力下ではギャップが縮小して重い電子状態が復活する。 (3)CeNiSn,CeRhSb,Ce_3Bi_4Pt_3,YbB_<12>のトンネル分光で観測されたギャップの大きさは、絶対零度の帯磁率の値から求めた特性温度でスケールできる。その比が平均場近似のギャップ方程式から導かれる3.5という値に近い事は、ギャップ形成機構モデルを峻別できる。 (4)YbB_<12>とCe_3Bi_4Pt_3の高分解能迷電子分光実験を行った。前者ではギャップ形成の観測に成功したが、後者ではギャップは直接には観測されなかった。
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