研究課題/領域番号 |
08404023
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高畠 敏郎 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (40171540)
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研究分担者 |
梅尾 和則 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (10223596)
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40185103)
鈴木 孝至 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (00192617)
伊賀 文俊 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (60192473)
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キーワード | 近藤半導体 / エネルギーギャップ / 強磁場 / 高圧 / 単結晶 / 磁気抵抗 |
研究概要 |
準粒子ギャップを低温で形成する近藤格子系YbB_<12>,Ce_3Bi_4Pt_3,CeNiSn,CeRhSbの純良単結晶を育成し、その低温物性の測定から以下の新しい知見を得た。 1. 立方晶系と斜方晶系の違い:立方晶のYbB_<12>とCe_3Bi_4Pt_3ではギャップがトンネル分光と中性子非弾性散乱によっても観測された。トンネル分光の方が大きなギャップ値を与える。YbB_<12>のYbを非磁性のLuで置換するとギャップの幅はあまり変化せず、内側に状態密度が盛り上がって来る。これに対して、斜方晶のCeNiSnとCeRhSbでは有限の状態密度がもともと残っている。CeNiSnの何れかのサイトを僅か1%置換すると、たちまち残留キャリアは局在する。CeRhSbでは結晶場効果よりもc-f混成効果の方が勝っているために、CeNiSnの示すa軸方向の一軸的磁気異方性とギャップの異方性は失われている。 2. CeNiSnの1K以下の特異な磁場依存性:擬ギャップの底に新しい構造が0.5K以下で出現する。a軸方向に磁場を印加すると0.8T付近で縦磁気抵抗は鋭いピークを示し、比熱の温度比は17%も減少する。 3. 強磁場および圧力の効果:CeNiSnではa軸方向に14Tの磁場を印加すると状態密度が回復する。ところがCeRhSbではa軸とb軸方向の磁場効果はほぼ等しく、約30T付近で擬ギャップは閉じる。一方、YbB_<12>の磁化は50T付近で1次転移的なメタ磁性を示し、これに伴って電気抵抗は急減し金属化する。その途中の磁場で縦磁気抵抗が〈100〉と〈111〉方向で複数のピークを示すのは、YbBl2のギャップにも内部構造があることを意味する。CeNiSnのb軸あるいはc軸の方向に圧力をかけると3Kに反強磁性転移が誘起される。
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