研究課題
今年度は、昨年度実施した南西インド洋日仏英共同観測航海(FUJI航海)のデータの処理解析を、今年度購入した大型カラープロッターを使用して集中的に行った。処理解析の対象としたデータは、深海曳航サイドスキャンソナーデータ、マルチナロービーム音響測深データ、三成分磁力計データ、および海底地震計データである。深海曳航サイドスキャンソナーデータは、南西インド洋海嶺の拡大軸にそった観測ボックス(Box2、200km長)の解析解釈を実施し、同ボックス内にある4つの拡大セグメントにおける、溶岩流の層序関係、断層活動の新旧関係を明らかにして、4つのセグメントがそれぞれ異なる発達段階にあると結論した。さらに、これに基づいて、セグメントの発達モデルを作ることに成功した。マルチナロービーム音響測深データ処理解析結果は、深海曳航サイドスキャンソナーデータ解析の基礎情報として使用された。三成分磁力計データ処理は、新しく処理ソフトウェアシステムを整備することから開始し、最終的な処理までを終了した。同データにより、南西インド洋海嶺拡大軸リフトの外側における磁気異常の全容を明らかにすることができた。解析の結果、海嶺拡大の顕著な非対称性が明らかになり、海底拡大モデル構築のための貴重な拘束条件を得ることができた。海底地震観測では、1日数千に及ぶ極めて活発な地震活動が観察され、これらのセグメント中央部に集中していることを明らかにした。以上の結果を、平成10年9月10〜11日にパリ大学で行われたFUJI航海航海後会議で日本側各研究者から発表し議論を行った。その議論に基づいて更なる解析を行った結果を、米国地球物理学会(平成10年12月6〜10日)の超低速拡大系の特別セッション(コンビーナー:玉木ら)で口頭、および複数のポスターで発表した。成果論文は、総括論文1編、セグメント発達モデル1編、海底地震活動1編の計3編の論文として、国際学術誌に1999年中に投稿の予定である。
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