研究課題
基盤研究(A)
本研究計画は、2年度目(平成9年度)に実施した、南西インド洋海嶺の観測航海の実現が最も重要な作業であった。初年度は、本観測航海のための準備を行い、最終年度(平成10年度)は、同観測航海で得たデータの処理、解析、および成果の公表にあてた。南西インド洋観測航海では、本研究計画経費のみでは、単独で同海域の観測航海を実現することは、不可能であるので、フランスのパリ大学を中心とする研究者グループと共同出資(フランス6割、日本4割程度の分担)で27日の観測航海(仏極地研の観測船を傭船)を南西インド洋海嶺で実現した。また、同航海に英国のサザンプトン海洋研の研究者グループと同研究所の大型深海曳航サイドスキャン装置TOBIを招聘した。また、日本からは、10台の海底地震計を持ちこみ,屈折法地殻構造探査、地震活動観測を実施した。TOBIは、南西インド洋海嶺東部の2つの代表的なセグメント(200km長)を選び、拡大軸方向にそった11km幅の海底サイドスキャンイメージを取得した。また、最も火山活動が活発であると思われる小セグメントにおいて、拡大軸に直交する形で、TOBIエサイドスキャンイメージのマッピング(100km四方)を行った。以上の結果、超低速拡大活動である南西インド洋海嶺は、低速拡大海嶺である大西洋中央海嶺に比べて、火山活動の量は全体的に少ないが、局所的に多量に発生することがあることが明らかになり、地殻構造が大西洋の地殻よりさらに不均質であることが予想される。特に、一部のセグメントでは、最近の火山活動がほとんど見られず、複雑な正断層系が発達するセグメントも発見された。本研究計画の成果は、1998年の研究代表者がコンビーナーを勤める米国地球物理学連合秋季大会の超低速拡大海嶺特別セッションにおいて複数の発表として公表された。平成11年度中に複数の学術論文公表を準備中である。
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