研究概要 |
圏界面中間規模波動のデータ解析:局地気候モデルデータ1年分を用いて,西太平洋域の中間規模波動の季節特性,鉛直構造を解析した.波動の振幅は圏界面で極大となり地表付近には構造ガ見られないこと,活動度は春に極大となること,などが明らかになった。また,ECMWF客観解析データ4年分をもとに,グローバルな力学特性を調べた.波動は等温位面での渦位解析により波打つ対流圏界面として捉えられた.北太平洋の春,北大西洋の冬,南インド洋の秋に卓越し,亜熱帯ジェットの極側,風下側で振幅が大きいこともわかった. 重力波のデータ解析:1995年4月に行った19日間連続MUレーダー観測データの一時処理に工夫をし,標準処理よりも2km高い領域まで風のデータを得た.そして,この領域に卓越し,西向き伝播する慣性重力波を発見した.また,MUレーダー過去三年のデータを基に推定した1万個近い重力波のレイトレーシング解析を行なった.起源は亜熱帯ジェット領域と地上付近とがあり,MU上空を通貨して亜熱帯ジェットに捕捉されるものと中間圏へ到達するものが多いこと等が分かった.特に注目すべきは,位相速度ゼロでないために,水平にも遠距離伝播可能な山岳起源の重力波が多かったことである. 数値実験:簡略化した非線型大気モデルを用いて,地形に強制されたロスビー波と帯状流の相互作用により出現する準定常状態の力学を明らかにし,予測可能性の変動との関連を調べた.また,3次元全球プリミティブモデルを用いて,平均帯状流の季節内変動と傾圧性擾乱の相互作用に関する数値実験を行い,ダブルジェット型とシングルジェット型の2つのレジーム間の不規則変動に伴って各レジーム毎に異なった温帯低気圧ライフサイクルがあることを明らかにした.
|