研究課題/領域番号 |
08404029
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
巽 好幸 京都大学, 理学部, 教授 (40171722)
|
研究分担者 |
石川 尚人 京都大学, 総合人間学部, 助手 (30202964)
古川 善紹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80222272)
石坂 恭一 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90025362)
|
キーワード | 高Mg安山岩 / 瀬戸内地域 / 堆積物の融解 |
研究概要 |
(1)中新世西南日本の高Mg安山岩の成因 上記マグマの成因を明らかにする目的で、瀬戸内地域に産する安山岩・玄武岩についてPb-Nd-Sr同位体比を測定した。これらの同位体比に関して、瀬戸内地域の岩石は、四国海盆の堆積物と日本海玄武岩が形成する混合線上の組成を示し、沈み込んだ堆積物がマグマの発生に重要な役割を果したことが推定される。堆積物の関与方法について、より、定量的な検討を行なうために、堆積物の高温高圧下における脱水分解反応時の、元素移動を実験によって決定した。この結果を用いて、混合計算を行なうと、上記の瀬戸内マグマの同位体比の特徴は、沈み込んだ堆積物の脱水分解による交代作用では説明することができず、むしろ、堆積物の融解が主要な役割を果すことが明らかになった。背弧海盆の形成と誕生間もないスラブの沈み込み、という、異常な高温マントル状況下において、沈み込むスラブ上の堆積物が部分融解し、高Mg安山岩マグマが形成されたものと考えられる。 (2)スラブ融解の計算機シミュレーションによる検討 上記の特異な温度条件を、計算機シミュレーションによって再現することを試みた。その結果、推定されるスラブ表面付近の温度は、堆積物のソリダスより高温であるが、角閃石のそれよりは低温であることが明らかになった。即ち、スラブの融解に伴って、玄武岩質地殻成分はマントルウェッジに添加されなかったことが推定される。これは、上記の地球化学的検討結果と調和的である。
|