火星起源とされる12個の隕石について、それらの岩石学的・岩石化学的特徴を明らかにした。特に火星隕石を同定する場合含有する斜長石(量的には少なく、強い衝撃を受けマスケリナトト化している)の元素組成に注目して研究した。その結果火星起源隕石の斜長石はCaとNaの中間組成をもつことを新たに見出した。これはこの種の地球の岩石の斜長石にきわめて近い組成を示す。全てのエコンドライト隕石の斜長石の組成はAh100%かそれに近く、火星隕石の斜長石組成とは明らかに異なる。このことは斜長石の組成を調べることできわめて簡便に火星起源かどうかの判断が可能となった。今回この手法を用いて、従来エコンドライト隕石のダイオジェナイトに分類されていた隕石の中から火星起源隕石1個を確認した。更に最近砂漠地域の隕石探査が業者などにより行われ、リビアとサハラ砂漠から各々1個の火星隕石とされる隕石、Dar al Ghani 476とLucky 13、が回収されている。これらを含め現在火星起源とされる15個の隕石を5つの岩石学的タイプに分類した。 1. ダンカンラン岩(Chassignites):Chassigny 2. レルゾライト:ALH-77005、LEW88516、Yamato-793605、Y-1075 3. 単斜輝石岩(Nakhlites):Nakhla、Lafayette、Governador Valadares 4. 斜方輝石岩:ALH84001、(Dar al Ghani 476) 5. 粗粒玄武岩(Shergottites):Shergotty、Zagami、EETA79001、QUE94201、(Lucky 13)
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