研究概要 |
火成活動と鉱化作用の時空関係を明らかにすると共に,周辺の堆積岩を含めて揮発性成分とその安定同位体比に注目し,鉱床構成元素の運搬と沈殿の特徴をつかみ,鉱液の起源としてマグマ水,天水,海水などがどのように混在しているかを明らかにするため研究を開始した。 まず北薩地域の大口,栗野地域の地質調査を補足的に行い、浅熱水性鉱床と周辺火山活動の関係を調査した。あわせて鉱石・火山岩・基盤岩を採集した。岩石の主要および微量成分の比較検討するため、化学を行なった。その結果,鉱床周辺の火山岩はハロゲン元素に富むことが更に確認され,変質された岩石の分析からは熱水変質作用の際の物質の出入に関する性質を明らかにすることができた。これらは次年度,学会で発表の予定である。 一方,安定同位体比測定装置を設置しその基礎測定を行なった。本年度はまず硫黄の同位体比の測定を可能にするため,購入した標準試料および他機関で測定した試料を新装置で測定した。東北大学にも赴き測定のノウハウを習得・改善の検討を行なった。現在までに絶対誤差±0.1%で測定可能になった。現在までの技術で鹿児島湾の底質を測定した結果,硫黄の挙動に関して大変興味ある結果が得られた。この研究自身大きな成果であり,近く学会で発表の予定である。酸素と炭素の同位体比を測定するためガスの抽出ラインの設計と組立てに取り組んだ。 以上の点では当初期待していた以上に成果を上げれたが,装置の故障等のためEPMA分析などまだ成果が上がっていない研究もある。
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