研究概要 |
本研究の目的は、バイオマーカー解析法と個別分子同位体研究手法を使ってケロジェンの分子組成および分子種の起源について考察することにある。 本年度は、研究試料としてカリフォルニア沖Tanner Basinの現世海洋ケロジェンおよびビチュメンを使用して解析法の検行なった。ケロジェンおよびビチュメン中のエーテル結合を三塩化ホウ素(BCI3)を反応させ切断し、続いて三塩化ホウ素を完全に除去した後LiAlH4による還元、シリカゲル吸着クロマトグラフィーを行い脂肪族炭化水素を得た。ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)による同定を行った結果、一連のn-C13-C34アルカン、C19,C20およびC40のイソプレノイド炭化水素、およびホパノイド炭化水素が検出された。以上のことから、本化学分解法は結合性バイオマーカー切断法として有用であることが確かめられた。得られたC40イソプレノイド炭化水素はLycopaneまたはBisphytaneの可能性があったので同定作業を進めた。その結果Bisphytaneであることが分かった。この化合物はバクテリア由来である可能性が高い。本化学分解法を堆積岩より分離したケロジェンにも適用し、解析を進めている。
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