研究概要 |
本研究では、現世湖沼堆積物、現世海洋堆積物、地質時代の堆積岩より不溶性有機物を分離し化学構造および構造中のバイオマーカーの解析を行った。不溶性有機物中のS-C、O-C、C-C結合を系統的に切断するために、第一段階では不溶性有機物中の硫黄-炭素結合を切断するためにTiCl_4-LiAlH_4法を検討した。その結果、この方法が従来法よりも選択性のある方法であることを確認した。次に、不溶性有機物中の酸素-炭素結合をBoron trichloride/LiAlH_4による切断を行なった。第三段階目のC-C結合の切断には、多段階Flash pyrolysis法とRuO_4による分解法を検討した。以上の方法を水月湖表層堆積物より分解した不溶性有機物に適用した結果、Garnmacrane,Polyhydroisorenieratene,sterolおよびhopanoid化合物を検出した。これらの結果から、堆積物不溶性有機物は堆積初期の段階から多くのバイオマーカーをS-C,O-C結合態の形で捕捉しているという、堆積以後の不溶性有機物の進化過程が解明できた。
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