1996 年度実績報告書

水中のプロトン移動のダイナミックスと水の揺らぎが化学反応へ及ぼす影響の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号	08404040
研究種目	基盤研究(A)
研究機関	名古屋大学
研究代表者	大峰巌名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60146719)
研究分担者	松本正和名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10283459) 斉藤真司名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70262847)
キーワード	プロトン移動 / 電荷移動反応 / クラスター / 化学反応ダイナミックス / 水 / 氷 / 統計理論 / ポテンシャルエネルギー面
研究概要	水中のプロトン移動の計算解析、水クラスターの大域的ポテンシャルエネルギー(PES)の様相、水のミクロレベル運動に関する高次非線型分光の理論計算、水素結合系のクラスターのダイナミックスの解析、ポリエンの光異性化過程のポテンシャルエネルギー面とダイナミックス、の研究を行ってた。水のクラスターへのプロトン付着のダイナミックスの分子動力学計算を行い、プロトン移動の機構とそれに伴うエネルギー緩和過程のダイナミックスを明らかにした。特に、速いプロトン移動の機構とその後のゆっくりした、いわゆるプロトン移動のダイナミックスに及ぼす、まわりの水の揺らぎの影響を調べた。Concertedな速いプロトン交換型移動が起こること、それにともない水分子酸素間の距離が縮み、また3配位の水分子ができること、周りの水の水素結合の組み替えが移動反応の規律になっていること、また多くの水分子の蒸発が非平衡的に起き、とくに蒸発水分子の並進に大きなエネルギーが集中することなどを明らかにした。水クラスターの大域的ポテンシャルエネルギーの様相を解析し、そのLandscapeが高度な結晶構造(5+6員環を多く含む)に向かってFurnellの形をしていることを、Normal Mode Followingによる反応座標決定法を用い示した。水の3次の非線型分光の計算したスペクトルに関し実験との非常に良い一致をみた。さらに実験では得られない各構成成分の解析を行った。現在5次の非線型分光の計算を行っている。また水分子クラスターについて、統計的RRKM理論とトラジェクトリー計算の結果を比較し反応が統計的であるかを調べ、水素結合が如何に運動をコントロールしているかを明らかにした。モード間の結合がエネルギーと供に如何に変わるかを解析し、それに基づく改良RRKMによる結果は非常に良い値を与えることを示した。

研究成果

(6件)

すべてその他

すべて文献書誌 (6件)

[文献書誌] T.Komatuzaki and I.Ohmine,: "′Proton Transfer in Liquid Watar II ; A semiempirical Method Describing the Potential Energy Surface′," Molecular Simulation. 16. 321-344 (1996)
[文献書誌] M.Matsumoto and I.Ohmine,: "′A New Approach to The Dynamics of Hydrogen Bond Network in Liquid Water′," J.Chem.Phys.104. 2705-2712 (1996)
[文献書誌] C.Kobayashi,K.Iwahashi,S.Saito and I.Ohmine: "′Dynamics of Proton Attachment to Water Cluster ; Proton Transfer,Evaporation and Relaxation′," J.Chem.Phys.105. 6358-6366 (1996)
[文献書誌] Masakatsu Ito and Iwao ohmine,: "′Nonadiabatic Transition and Energy Relaxation dynamics in Photosiomerization of s-trans Butadiene′" J.Chem.Phys.106. 3159-3173 (1997)
[文献書誌] A.Baba,Y.Hirata S.Saito and I.Ohmine: "′Fluctuation,Relaxation and Rearrangement Dynamics of a Model(H20)20 Cluster : Non-Statistical Dynamical Behavior" J.Chem.Phys.106. 3329-3337 (1997)
[文献書誌] Shinji Saito and Iwao Ohmine,: "′Third order nonlinear response of liquid water′," J.Chem.Phys.106(in press). (1997)

1996 年度 実績報告書

水中のプロトン移動のダイナミックスと水の揺らぎが化学反応へ及ぼす影響の理論的研究

研究代表者

大峰 巌 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60146719)

研究成果

[文献書誌] T.Komatuzaki and I.Ohmine,: "′Proton Transfer in Liquid Watar II ; A semiempirical Method Describing the Potential Energy Surface′," Molecular Simulation. 16. 321-344 (1996)

[文献書誌] M.Matsumoto and I.Ohmine,: "′A New Approach to The Dynamics of Hydrogen Bond Network in Liquid Water′," J.Chem.Phys.104. 2705-2712 (1996)

[文献書誌] C.Kobayashi,K.Iwahashi,S.Saito and I.Ohmine: "′Dynamics of Proton Attachment to Water Cluster ; Proton Transfer,Evaporation and Relaxation′," J.Chem.Phys.105. 6358-6366 (1996)

[文献書誌] Masakatsu Ito and Iwao ohmine,: "′Nonadiabatic Transition and Energy Relaxation dynamics in Photosiomerization of s-trans Butadiene′" J.Chem.Phys.106. 3159-3173 (1997)

[文献書誌] A.Baba,Y.Hirata S.Saito and I.Ohmine: "′Fluctuation,Relaxation and Rearrangement Dynamics of a Model(H20)20 Cluster : Non-Statistical Dynamical Behavior" J.Chem.Phys.106. 3329-3337 (1997)

[文献書誌] Shinji Saito and Iwao Ohmine,: "′Third order nonlinear response of liquid water′," J.Chem.Phys.106(in press). (1997)

1996 年度実績報告書

大峰巌名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60146719)