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1997 年度 実績報告書

水中のプロトン移動のダイナミックスと水の揺らぎが化学反応へ及ぼす影響の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08404040
研究機関名古屋大学

研究代表者

大峰 巌  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60146719)

研究分担者 松本 正和  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10283459)
斉藤 真司  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70262847)
キーワード水 / 氷 / プロトン移動 / 分子論的機構 / 大域的ポテンシャルエネルギー面 / 集団運動 / 揺らぎ / 超高速高次非線型分光
研究概要

我々は本研究で次の3つのことを明らかにした。
1.液体の水または氷の中のプロトン移動の分子論的機構の解明を行い水の中のプロトン移動においては3配位の水分子が大切な役割をしている。即ち水の中のネットワークの揺らぎで作られた3配位の水分子の上をプロトンは選択的に移動して行く。またプロトンが移動する2つの水分子間のO…O間距離は収縮する。一方氷の中では、これら3配位の水O…O間の収縮は起こりにくいが、氷の中のプロトン移動は水の中よりも速いことがしられている。実際計算してみると、氷の中ではプロトンのついた水分子は構造的には4配位している。しかしエネルギー的にはその1つの水素結合が強い斥力となっており3配位構造となっており、さらにその斥力によってその反対側のO…O間距離が短くなっており、これが氷の中のプロトン移動を容易にしている原因であることを見つけた。
2.水素結合ネットワークの構造変化に伴う、水分子の集団運動と1/fタイプの揺らぎ、またそれらが実験として如何に超高速次非線型分光に反映されるか、を理論的に検証した。
3.液体におけるポテンシャルエネルギー面は、Fragile Liquidの性質を持ち、その上での系の運動はSluggishである。従って温度が下がればその様な乱れたゲル構造にトラップされアモルファス氷になるはずであるが、一般的な条件下では結晶氷に凍る。我々は大域的なポテンシャルエネルギー面の様相を調べることによって水が如何に最小エネルギー状態を見つけているかを明らかにした。其の結果、大域的には最低エネルギー状態に向かってポテンシャルエネルギー面が漏斗型をしているのが分かった。この様に最低エネルギー状態に向かうドライビングフォースがあり効率良く水の結晶化がおこる。ポテンシャルエネルギー面にはBottleneckがあり、ここで運動を止めることが出きればアモルファス氷を作ることができる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Masakatsu Ito: "Nonadiabatic Transition and Energy Relaxation Dynamics in Photosiomerization of s-trans Butadiene" J.Chem.Phys.106. 3159-3173 (1997)

  • [文献書誌] Akinori Baba: "Non-Statistical Dynamical Behavior" J.Chem.Phys.106. 3329-3337 (1997)

  • [文献書誌] Shinji Saito: "Third order Nonlinear Response of Liquid Water" J.Chem.Phys.106. 4889-4893 (1997)

  • [文献書誌] Shinji Saito: "Off-Resonant Fifth Order Nonlinear Response of Water and CS_2; Analysis Based on Normal Modes" J.Chem.Phys.108. 240-251 (1998)

  • [文献書誌] Akinori Baba: "Global potential energy surfaces of water clusters; Reaction coordinate and annealing analyses" Spectal Issue of J. Mol Liquids. (in press). (1998)

  • [文献書誌] M.Matsumoto: "Liquid Water Dynamics; Hydrogen Bond Rearrangement,Phase Space Dynamics and Proton Transfer," World Scientific. (in press). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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