研究概要 |
平成9年度に得られた主な研究成果を以下に述べる。(1)高温炉レーザー実験装置の中でグラファイトロッドをレーザー蒸発してフラーレン類を生成する際に、照射直後に炭素微粒子からの強い発光が見られることが分かった。また高速ビデオカメラ(時間分解能25マイクロ秒)を用いて、その炭素微粒子の像を照射直後の時間の関数として測定したところ、フラーレン類が生成しやすい生成条件のもとでは、発光の見掛けの寿命が長くなっていることを見出した。同じ測定を干渉フィルターを通して行うことにより、予備的ではあるが発光スペクトルの波長分布を求める事ができた。その結果、レーザー照射直後の極めて短い時間ではC_2発光が極めて強く観測されること、時間が経過するにつれてその発光スペクトルは黒体輻射的なスペクトルとなり、そこから炭素微粒子の内部温度を見積もる事ができることが分かった。またフラーレン類が生成しやすい条件のもとでは、炭素微粒子の内部温度の下がり方が他の場合に比べて遅くなっていることが見出された。 (2)REMPED分光法を用いて、奇数の炭素クラスター負イオン(C^-_n、n=7,9,11)の電子励起状態についての知見を得た。(3)金属内包フラーレン類の生成過程について検討するため、高温炉レーザー実験を用いて生成条件を変えた実験を行い、ロッド中に含まれる金属原子の原子数比や、電気炉の温度が金属内包フラーレン類の生成に大きく影響を与えていることを見出した。(4)レーザー蒸発法で生成した炭素クラスター負イオンの光電子分光実験を行い、直鎖状炭素クラスター負イオンC^-_nについてのスペクトルの解析から、nが奇数の場合について中性炭素クラスターの電子励起状態についての知見を得た。
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