研究課題/領域番号 |
08404044
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
|
研究分担者 |
大倉 一郎 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (90089821)
鈴木 孝仁 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60144135)
三方 裕司 奈良女子大学, 理学部, 助手 (10252826)
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80214401)
|
キーワード | インターカレーター / ハイブリッド錯体 / 糖 / 抗癌性 / シスプラチン / 白金錯体 / ニッケル錯体 / 配糖ジアミン |
研究概要 |
1.本研究は、当研究室で世界に先駆けて切り拓いてきた糖質の配位化学を基盤にし、腫瘍親和性色素、さらに核酸に対するインターカレーター部位を持たせたハイブリッド分子を設計・合成し、生体適合性に優れた配糖錯体の実現を目指すものである。 本年度は1)DNAに対してより選択的に結合するインターカレート部分を有するシスプラチン型Pt(II)錯体の開発を行った。2)配糖錯体の高分子化のための準備研究としてN-メチルエチレンジアミンと5炭糖のNi(II)配糖錯体の合成を行った。またモノマー官能基をもつN-置換ジアミン開発した。さらに、3)糖質を有する新規キレート配位子の開発とその金属錯体の合成を行った。 2.1)インターカレート部位を有するシスプラチン型錯体の合成と性質:インターカレートとしてアクリジンを有するジアミン配位子ACCH_2enを新しく合成し、その白金錯体[PtCl_2(ACCH_2en)]の結晶構造を明らかにした。さらにマウス白血病P388による制ガン効果の検定を行ったところ、dose 50mg/kgでT/C値が113となり、わずかではあるが延命効果が見られた。2)N-メチルエチレンジアミンとD-リボースのNi(II)配糖錯体の合成とキャラクタリゼーション7)モノマー官能基をもつN-置換ジアミン開発:良好な結晶が得られた[Ni(D-Rib-N-Meen)_2]Br_2のX線結晶構造解析のを行い立体構造とCDスペクトルとの相関を明らかにした。3)糖質を有する新規キレート配位子とその金属錯体の開発:糖質を含む金属錯体の新機能開発を目指し、糖とアミンの組み合わせとして、アミノ糖に代わり新規配位子2-β-O-D-glc-pnの合成法を確立した。本化合物は他の糖に、あるいは他のジアミンに対しても広く拡張でき、きわめて有用である。 3.現在新機能材料の開発を目指して配糖錯体のハイブリッド化を進めている。
|