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1998 年度 実績報告書

生理活性ハイブリッド錯体の分子設計とバイオメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 08404044
研究機関奈良女子大学

研究代表者

矢野 重信  奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)

研究分担者 大倉 一郎  東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (90089821)
鈴木 孝仁  奈良女子大学, 理学部, 教授 (60144135)
三方 裕司  奈良女子大学, 理学部, 助手 (10252826)
加藤 昌子  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80214401)
キーワード糖 / 錯体化学 / 白金錯体 / ジアジド
研究概要

1. 糖質は多くの薬剤の一部として含まれており、高い溶解性、生体適合性などを示す。本研究では、生理活性を示す無機有機複合体の開発を目指し、D-グルコース(D-Glc)をO-グリコシド結合によりジアミンに結合させた配位子1-β=D-glucopyranosyloxy-2,3-propanediamine(1-D-Glc-pn)とその白金錯体の合成とキャラクタリゼーションを行った。
2. D-グルコースを無水酢酸中でアセチル化し、2,3-ジブロモ-1-プロパノールを加えてグリコシル化を行った。次にアジ化ナトリウムをDMF中で反応させてアジド化し、これをナトリウムメトキサイドで脱アセチルして、最後に酸化白金を触媒として水素化を行い1-D-Glc-pnを得た。ジアジド化合物1-(2,3,4,6-tetra-0-acetyl-β-D-glucopyranosyloxy)-2,3-propanediazide(1)のX線結晶構造解析を行った。また、l-D-Glc-pnとテトラクロロ白金酸(II)カリウムの水溶液を1等量ずつ混ぜ、室温で3時間撹拌すると、目的のシスプラチン型錯体[PtCl_2(1-D-Glc-pn)])の黄色結晶が生成した。
3. 1-D-Glc-pnの合成の途中段階であるジアジド化合物はプロパン部の1個の炭素(C2)が不斉炭素になる。はじめに生成してくる粗結晶は、R体、S体の混合物であるが、エタノール中で再結晶するとジアステレオマーの一方が優先的に結晶化してくることを見いだした。X線結晶構造解析の結果、プロパン部の不斉炭素の絶対配置はSであり、アノマー構造はβであることが明らかになった。このジアジド化合物の還元によって目的の1-D-Glc-pnの合成を行い、そのシスプラチン型白金錯体を合成した。NMRスペクトルより白金錯体の溶存状態における糖とキレート環のコンホメーションを考察した。スピン-スピン結合定数より、糖のそれぞれの水素はトランスであり、アキシャル位に位置することがわかった。またプロパン部のキレート環のコンホメーションは(λ)-ゴーシュであると推定した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 矢野重信: "General Synthesis of Useful Chelating Reagents having a Sugar Unit,1,3-Diamino-2-propyl β-D-Glucopyranoside and 1,3-Diamino-2-propyl α-D-Mannopyranoside," Chem.Lett.255-256 (1999)

  • [文献書誌] 三方裕司: "Synthesis and Phototoxic Property of Tetra-and Octa-Glycoconjugated Tetraphenylchlorins" Bioinorg.Med.Chem.Lett.8. 3543-3548 (1998)

  • [文献書誌] 矢野重信: "Antigungal Nickel(II) Complexes Derived from Amino Sugars against Pathogenic Yeast, Candida Albicans" J.Inorg.Biochem. 69. 15-23 (1998)

  • [文献書誌] 棚瀬知明: "Sereochemistry of nickel(II) complexes with N-glycosylamine ligands from 1,3-diaminopropane and aldopentoses. Correlation between configurational structures" J.Chem.SOC.,DALTON Trans.345-352 (1998)

  • [文献書誌] 加藤昌子: "Two-dimensional Stacking of Dichloro(dipyridophenadine)" Acta.Cryst.C24. 621-624 (1998)

  • [文献書誌] 棚瀬知明: "(μ-Oxo or hydroxo)bis(μ-carboxylato)diruthenium(III)Complexes with Tris(1-pyrazolyl)borate Face-capping Ligand,Affording Versatile Oxidation States" New J.Ckem..927-929 (1998)

  • [文献書誌] 矢野重信: "X線構造解析" 朝倉書店, 45 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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