研究課題/領域番号 |
08404048
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
榎 敏明 東京工業大学, 理学部, 教授 (10113424)
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研究分担者 |
宮崎 章 東京工業大学, 理学部, 助手 (40251607)
佐藤 博彦 東京工業大学, 理学部, 助手 (90262261)
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キーワード | 活性炭素繊維 / ランダム / 吸着 / ホスト・ゲスト系 / 炭素 / 磁化率 / 熱起電力 / 反強磁性 |
研究概要 |
1.多孔的構造を持つACFに60Kで酸素を吸着させ、低温における吸着酸素の磁気的挙動から酸素分子の吸着状態に関する検討を行った。吸着した酸素分子の磁化から、酸素分子に働く実効的な交換相互作用の大きさは吸着量の増加に伴い直線的に増加し、交換相互作用の大きさから判断しACFに吸着した酸素は飽和吸着量においても60Kでは液体的であることが示唆された。吸着量の少ない領域では磁化率はΘ=-20K程度のWeiss温度を持つCurie-Weiss的挙動を示すが、吸着量の高い領域ではCurie-Weiss則に従うスピンに加え反強磁性的に短距離秩序化してゆく挙動が観測された。Curie-Weiss的挙動を示すスピンの数は酸素の吸着量の増加と共に減少するが、最大の吸着量においても約20%程度のCurie成分の寄与が残る。これらのことは吸着量の増加に伴い反強磁性的クラスターが成長していることを示すが、ACFのポア構造を反映したランダムな構造をもつため最大の吸着量においてCurieスピンの寄与が残っていると考えられる。 2.熱処理による構造の規則化過程、その構造変化と電子構造との相関を調べるため、熱処理したACF、さらにこれらにヨウ素をドープしたACF-I_2の熱起電力、磁化率の挙動を解析した。ACFでは熱処理温度の増加に伴いFermiエネルギーの低下が見られた。これは、熱処理によりダングリングボンド数が減少し、σトラップされていたπ電子がπバンドに押し戻されたためと考えられる。また、同じ熱処理温度のACFにおいてもヨウ素ドープによりFermiエネルギーの増加が観測された。これはヨウ素がアクセプターとして働き、ACFからヨウ素へ電荷移動が生じたためと思われる。
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