研究課題/領域番号 |
08404049
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
丸岡 啓二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20135304)
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研究分担者 |
大井 貴史 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80271708)
浅尾 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60241519)
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キーワード | 二点配位型ルイス酸 / 有機アルミニウム / ケトン還元 / 向山アルドール反応 / N, N-ジメチルホルムアミド |
研究概要 |
本研究者は、十年以上も前からルイス酸としての有機アルミニウム化合物の化合物の化学に取り組んでおり、数多くの研究データを蓄積している。これらの知見をもとに「二点配位型ルイス酸」としての二点配位型有機アルミニウム反応剤の創製に取り組んだ。すなわち、適当な位置に二つのフェノール性水酸基を有する化合物、ビフェニレンジオールを二座配位子として用い、これをトリメチルアルミニウム、2当量と反応させることにより、二つのアルミニウム原子が望ましい原子間距離に位置し、二点配位が可能な有機アルミニウム系ルイス酸を作り上げた。この二点配位型ルイス酸を用いると、ケトンの還元や向山アルドール反応において相当する一点配位型ルイス酸と較べ顕著な反応性の差が見られた。そこで、カルボニル基質としてN, N-ジメチルホルムアミド(DMF)を選び、二点配位型ルイス酸のカルボニル基への二点配位能力に関する知見を得るため、低温での^<13> NMR測定を行った。一点配位型ルイス酸とDMFとの1 : 1複合体を重クロロホルム中、-50℃で^<13>NMRを測定すると、DMFのカルボニル炭素の化学シフト値は低磁場シフトした。一方、二点配位型ルイス酸とDMFとの1 : 1複合体を重クロロホルム中、同じ条件下で測定すると、DMFのカルボニル炭素の化学シフト値はさらに低磁場シフトを起こし、二点配位型ルイス酸の二重活性化によりカルボニル基は親電子的に強く活性化されていることがわかった。また、共役アルキル化反応のために、求核中心を併せ持つ新たな反応系の構築を試みた。すなわち、機能性ルイス酸ATPHのフェノール配位子の末端に配位可能なフッ素置換を導入することでアルミニウムの周りの形作られる分子ポケットの先端に求核剤をうまく配置させることが可能になり、アルキルリチウムのみならず、先例のないアリルリチウムのα, β-不飽和アルデヒドへの共役付加が可能になった。
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