研究課題/領域番号 |
08404049
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
丸岡 啓二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20135304)
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研究分担者 |
大井 貴史 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80271708)
浅尾 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60241519)
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キーワード | 二点配位型ルイス酸 / チタン / ケトン還元 / アリル化 / エポキシド |
研究概要 |
今年度は、二点配位型チタン系ルイス酸の反応性、選択性を明らかにした。元来、Ti(POr^j)_4は非常に弱いルイス酸性しか示さないので、このルイス酸に二点配位型の概念を導入することにより、その反応性の向上を試みた。種々検討した結果、スペーサーとして1,8-ジヒドロキシアントラキノンが適当であることがわかり、これに対し2当量のTi(POr^j)_4を加え、塩化メチレン中室温で3時間撹拌することにより容易にビス(チタン)反応剤が調製できた。反応性の比較となる一点配位型ルイス酸は1-ヒドロキシアントラキノンから調製した。まず二点配位型チタン反応剤を10mol%用いて4-tert-ブチルシクロヘキサノンの水素化トリブチルスズによる還元を行ったところ、相当するアルコールが74%の収率で得られた。触媒量を20mol%にすると還元反応はほぼ定量的に進行する。これに対し、一点配位型ルイス酸では20mol%用いた場合にも生成物はわずか3%しか得られない。他の例としてテトラアリルスズによるベンズアルデヒドのアリル化反応を行ったが、やはり両者の間に顕著な反応性の差が現われた。また興味深いことに、この二重活性化はカルボニル基に対してだけではなく基質としてエポキシドを用いた場合にも現われ、シクロヘキサジエンモノエポキシドのジベンジルアミンによる開環反応でも、二点配位型チタン反応剤は反応を強く促進することがわかった。続いて、二点配位型チタン反応剤においても^<13>C NMRを用いた分光学的手段から、カルボニル基の二重活性化に関する知見が得られた。すなわち、DMFに一点配位型ルイス酸を1:1の比率で配位させたところ、DMFのカルボニル炭素の化学シフト(162.66ppm)はほとんど変化しなかった。ところがDMFと二点配位型チタン反応剤の1:1複合体では165.43ppmにまで低磁場シフトし、これからDMFのカルボニル基が二点配位型チタン反応剤の配位により強く活性化されていることが見い出された。
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