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1998 年度 実績報告書

人類および近縁霊長類の遺伝的多様性と遺伝的未来

研究課題

研究課題/領域番号 08404052
研究種目

基盤研究(A)

研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

高畑 尚之  総合研究大学院大学, 先導科学研究科・生命体科学専攻, 教授 (30124217)

研究分担者 宝来 聰  総合研究大学院大学, 先導科学研究科・生命体科学専攻, 教授 (40126157)
颯田 葉子  総合研究大学院大学, 教育研究交流センター, 助教授 (20222010)
キーワード人類進化 / 分子時計 / 遺伝子の系図 / 遺伝的多様性 / MHC / 組換え / ハプロタイプ / セルバンク
研究概要

全関連遺伝情報の集団遺伝学に基づく解析から、(1)ヒトに最も近縁な霊長類はチンパンジーであること、(2)その分岐は500-600万年の間であること、(3)そのとき共通祖先集団が保有していた遺伝的多様性の程度は現在ヒト集団の約5倍であることを示した。(1)では、相同な遺伝子の系図が組換えの影響を受けており、従来の分子系統学的研究では不十分であることが明らかになった。(2)は進化速度の一定性を検定した結果であるが、霊長類ではこれまで言われてきたような類人猿での速度の低下を否定する。(3)は、現在ヒト集団の遺伝的特徴と関連する。このことを一層明確にするために、チンパンジーを直接比較する実験を行った。これまでに結果では、ヒト集団の遺伝的多様性はチンパンジーの一つの地域集団に相当するほど小さい。ヒトは種としては大変若く、民族を特徴づける遺伝的要素はあってもごく限られていることを示している。
また、本年は遺伝的組換え率の推定のため、ヒト主要組織適合性抗原(MHC)遺伝子領域の多様性解析を広範囲に行った。その結果、平均的な組換え率は0.1%-1%/Mb/世代であることが明らかになった。このことから、人類集団が拡散した過去10万年の歴史を復元するには、密接に隣接したMHC遺伝子座で決まるパプロタイプが有効であることを、リベリア集団を例にとり示した。中央と東シベリア集団間には明白な差があり、異なる祖先集団から由来したものと考えられる。
こうした結果は、アフリカで開催された人類学会人間生物学会合同国際会議、ケンブリッジ大学で開催された人類学コース、およびサンフランシスコ大学のセミナーで招待講演として発表した。また、東アジアとアメリカ先住民のセルバンクおよびアフリカ人と日本人のゲノムライブラリーを構築し、最終年度の計画に備えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Yoko Satta: "Molecular clock and recombination in primate Mhc genes" Immunological Reviews. 167. 印刷中 (1999)

  • [文献書誌] Yoko Satta: "THE NEUTRAL THEORY and NATURAL SELECTION in THE HLA REGION" Frontiers in Bioscience. 3. 459-467 (1998)

  • [文献書誌] Naoyuki Takahata: "Selection,convergence,and intragenic recombination in HLA diversity" Genetica. 102/103. 157-169 (1998)

  • [文献書誌] Atsuko Date: "Evolutionary history and mechanism of the Drosophila Cecropin gene family" Immunogenetics. 47. 417-429 (1998)

  • [文献書誌] Naoyuki Takahata: "Footprints of intragenic recombination at HLA loci" Immunogenetics. 47. 430-441 (1998)

  • [文献書誌] Naoyuki Takahata: "Improbable truth in human MHC diversity?" Nature genetics. 18. 204-206 (1998)

  • [文献書誌] Horai S.: "The origin and past of modern humans Towards a reconciliation" Wold Scientific, (1998)

  • [文献書誌] Takahata N.: "The origin and past of modern humans Towards a reconciliation" World Scientific, (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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