研究課題/領域番号 |
08404053
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 孝男 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10124223)
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研究分担者 |
石浦 正寛 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20132730)
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キーワード | シアノバクテリア / 概日時計 / 時計遺伝子 / ネガティブフィードバック / 酵母のtwo component / 古細菌 / 蛋白質相互作用 / 系統発生 |
研究概要 |
平成9年度は昨年度クローニングしたシアノバクテリア(藍色細菌)の概日時計遺伝子群kaiABCの機能を解明を目指して、その発現の解析と蛋白質間の相互作用を中心に調査した。その結果、以下のような結果を得て、シアノバクテリアの概日振動の発生機構についてモデルを提唱することができた。この結果は現在Scienceに投稿中である。 1.KaiABC遺伝子群はkaiAおよびkaiBCの2つの単位で転写されており、それぞれが同じ周期のリズムを示す。またkaiABCの突然変異体でも、その表現型に対応したリズムを示す。 kaiBCの過剰発現によりそれ自身の発現が強く阻害された。しかしkaiAの発現には大きな効果を持たなかった。一方kaiAの過剰発現はkaiBCの発現を増大した。これらの事実かつkaiBCの発現が自身の産物によりネガティブフィードバックを受けており、このループが概日振動を発生させている可能性が示唆された。一方kaiAはkaiBCの発現を促進することで振動を持続させる機能を持っていることが示された。 3.kaiABC遺伝子群の産物蛋白質は酵母のtwo component系やin vitroで様々な相互作用することが確認され、いくつかの突然変異がこの結合能を変化させることが確認された。この結果はkaiABC遺伝子群の産物蛋白質が概日振動の周期決定に機能していることを示唆している。 4.kaiABC遺伝子群の相同遺伝子を多くのシアノバクテリアから見いだした。さらに古細菌にもkaiBC遺伝子の相同遺伝子を見いだし、概日時計機構の系統発生上興味深い知見を得た。
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