本研究課題に対して、高分解能ウォルターミラー製作技術の開発・X線結像技術の確立・軟X線領域での位相差顕微鏡光学系の開発の3点から研究を行った。 ミラーの制作ではCNC旋盤および表面形状測定装置を新たに購入し、またニコン(株)との共同研究で作成したレプリカ作成装置を導入しミラー製作のため基盤整備を行った。また、直径0.1mm程度の軟X線ビームを用いてミラーの局所的な結像特性を調べる技術を開発し、作成したミラーの局所的な結像特性はかなり満たされているが、より大きな領域にわたる形状誤差により分解能が悪化していることが明らかとなった。 X線結像技術では、CuKα線(波長0.15nm)にて10倍のウォルターミラーを対物レンズとしてCCDカメラ上に結像させる顕微鏡システムを構築し数μmの分解能で結像させることができた。放射光を用いた実験ではこの光学系で蛍光X線の結像にも成功した。また、東芝(株)が実験的に開発した光電変換型像検出器の光電面を作成し、C Kα(波長4.5nm)からCuKαのX線にわたってテストし、ミラー光学系の検出器として利用できることがわかった。 位相差光学系の開発では、光線追跡計算によりウォルターミラーによる位相差顕微鏡を設計し、製作を行った。
|