研究概要 |
本研究は,特に先進材料に対して,在来の加工法に比して利点の多いウォータジェット加工の次世代生産システムへの適用を念頭に,加工中の状態を化視化することによってウォータジェット加工の機構解明や状態認識技術の確立を図ることを目的としている.今年度は前年度に引き続き要素研究を行い,これらをシステムとして統合して総合評価を行った.具体的な研究成果は以下のようにまとめられる. (1)前年度に得た超高速ビデオカメラによる可視化情報と超音波による可視化情報を切削力情報と対応付けることによって,確度の高い加工状態認識手法を提案した.さらに,実時間状態認識が可能となるように具体的計算手法を提案し,これを制御システムに実装しその有効性を確認した. (2)膨大なセンサ情報をデータベースとして構築する手法を提案した.具体的には「多次元加工状態空間」と称するもので,これは「1つの加工状態を表す状態パラメータsと制御パラメータU_k(k=1,‥,n-1)で構成されるn次元空間」である.これによれば,加工状態を表す状態量はこの空間内の超曲面としてプロットされるため,膨大なセンサ情報を加工状態量に変換し,さらに超曲面上に整理することによって,大幅な情報圧縮を実現した上でデータベースとして蓄積可能となる. (3)提案した多次元加工状態空間の概念に基づいて,加工条件を自律的に決定する手法を提案した.加工条件決定のために設定される加工状態量に対する閾値は多次元加工状態空間内の超平面として表現される.したがって,最適加工条件の決定は超曲面と超平面との交線に対する探索問題として実現可能となった. (4)以上により得られたセンサ機能,状態認識機能,データベース構築機能,並びに加工状態決定機能を統合してセンサベース適応制御システムを構成し,加工実験により開発した機能の有効性を確認した.
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