研究概要 |
マイクロファクトリの先導的システム設計を行うにあたり,要素技術の先導設計検討とは異なる設計戦略的問題が浮上した。通常のシステム設計においては,幅広い設計自由度の中から既存要素技術の有無により機構や構成などが絞り込まれる。それに対し,マイクロファクトリは内部に多くのプロセスを含むため,システム構成の自由度が大きいうえ,先導設計的手法では未開発要素技術の採用が可能であり,なかなか設計自由度の絞り込みができない。そこで,システムを構成する要素機器の色々な組み合わせや,様々な形態という“様式"レベルでの検討が必要であることが分かった。 マイクロファクトリの様式検討においては,システム全体の寸法,精度,操作性などの“システム要求仕様"と,アクチュエータやセンサ,工具,測定機器など個々の要素機器・要素技術に関する寸法,精度,出力,強度などの“性能仕様"との間をつなぐものとして“様式"が存在する。様式を表現するものとして,“観点"という変数群と,各“観点"変数に対する属性値としての“特性"を導入し,様式の新たなとらえ方を提示した。 様式を構成するこれら観点どうしは相関関係を持ち,それら制約関係内での解の探索が設計における様式検討に相当する。マイクロファクトリの様式に関わるいくつかの具体的観点についてネットワークの構成を行った。 マイクロファクトリによる具体的製作対象物として,マイクロカテーテルで用いられる微小離脱機構(構成部品6,最小部品:直径0.1mm×長さ1mm)を想定し,マイクロファクトリへの要求仕様の絞り込みを行い,現存技術要素の積み上げによるマイクロファクトリ構成の1次案を作成した。
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