研究概要 |
平成9年度は混相流動の現象解明のために必要な熱・物質・運動量の複合拡散現象を捉えるため,複合計測の手法と効率的なデータ処理法の開発を行った.乱流場の熱移動を伴う流れ場として,軸対象衝突噴流場において,粒子画像流速計(PIV)とレーザ誘起蛍光法(LIF)を併用し,さらに熱電対による温度計測を多点において行うことにより伝熱面近傍での空間的・時間的な温度変動を的確に捉えることができ,流れ場の計測から得られた渦構造との相互関係が明らかにされた.また,計測器にインテリジェント化に関しては,ホログラフィックPIVシステムにプラスティック感光板により実時間に近いかいたちの計測ができ,従来より的確な条件での計測が可能になった.加熱面などの温度計測に関しては,種々の蛍光粒子を試した結果,2波長の蛍光発光を行う粒子を用いることで,より精度の高い温度計測が,画像処理を用いて行えることが判った. 界面が変形する気液二相流動に関しての複数の気泡により発生する周囲流体の乱れの構造に関実験を行い,気泡間の干渉と周囲流体の乱れの構造を明らかにした.分散系二相乱流の微細構造の解明に関しては,粒子添加により層流から乱流への遷移過程について,並行平板間流れの実験を行い,粒子添加により遷移が遅延し,粒子濃度によりその過程が変化することなどの知見が得られた.また,カメラを流れと同じ速度で移動して粒子を追跡するラグランジェ測定も行い,粒子回りの流れ場との相互作用が明らかにされた.さらにそのモデル化に向かって,熱移動を伴う分散二相乱流場に関して,等方性乱流場を対象に,直接数値計算法を適用して,粒子の熱的な緩和時間の影響を明らかにし,温度履歴に関してラグランジェ自己相関係数を求めることができた.この結果は今後の混相乱流のモデル化に寄与するところが大であると考えている.
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