研究課題/領域番号 |
08405025
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉野 勝美 大阪大学, 工学部, 教授 (70029205)
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研究分担者 |
河合 壮 大阪大学, 工学部, 助手 (40221197)
尾崎 雅則 大阪大学, 工学部, 助教授 (50204186)
大森 裕 大阪大学, 工学部, 助教授 (50223970)
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キーワード | 導電性高分子 / フラーレン / 複合体 / ポリアセチレン誘導体 / ESR / ソリトン / ド-ピング |
研究概要 |
本研究では導電性高分子と種々のフラーレンの複合体を作製し、特徴的な電子・光物性の解明と機能応用の可能性について検討を進めた。側鎖に置換基としてベンゼン環を有するアセチレン誘導体であるPhxPAにC_<60>をド-ピングした複合体において特徴的な蛍光の消光効果を見いだした。さらに金属電極を蒸着する事により作製したシットキ-接合における短絡光電流はフラーレンド-ピングによって著しく増強される現象を見いだした。従来、ポリアセチレン誘導体にはバンドギャップ内にソリトン準位が形成されているとする考え方が提唱されていたが、本研究で見いだされたフラーレンのド-ピング効果はこの様なソリトン準位の介在を強く否定するものであり、基礎科学的に極めて重要且つ興味深い結果である。 さらに導電性高分子にフラーレンをド-ピングした複合体に光照射を行った際のESR(電子スピン共鳴スペクトル)を測定したところ、特徴的なフラーレンおよび導電性高分子中のポーラロンに相当する共鳴シグナルが見いだされた。また予めアルカリ金属をド-ピングした場合においても、同様の光誘起ESRが観測された。しかもこれらの光誘起ESR信号は低温では極めて安定であり、光照射を停止して暗状態で数十分光放置してもESR信号を示す事が明らかになった。これは、光照射によって形成される光励起状態が格子緩和によって安定化を受けることと、一旦形成された安定状態は格子振動がクエンチされている状態では準安定状態として長寿命化する現象によるものと考えられ、導電性高分子およびフラーレンの特徴的な挙動であると考えられる。
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