研究課題/領域番号 |
08405027
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
益 一哉 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20157192)
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研究分担者 |
中瀬 博之 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (60312675)
横山 道央 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40261573)
坪内 和夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30006283)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1999
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キーワード | Eb / No-BER特性 / 超低消費電力設計 / CMOS集積回路 / SET / CSETインバータ回路 / マッチトフィルタ / S / N改善 / 高速RFバス |
研究概要 |
本研究は、通信の分野でシステムの性能評価に用いる「Eb/No-BER特性」を、新たにCMOSLSI等のシリコンデバイス、および極微細素子へ拡張して適用する事を目指し、真の超低消費電力デバイス開発の指針を目指した。 平成8年度は、まず1〜2μm設計ルールのシリコンCMOSテスト回路を設計試作し、インバータについて、初めて「Eb/No-BER特性」を測定した。その結果、理論曲線に従う事を確認した。さらに、システム側からの要求という観点から熱雑音環境下での電源電圧の下限値を求める方法を新たに提案した。また、配線間クロストーク雑音に着目し、BER特性から電源電圧・データレートが決められた場合の許容クロストーク限界値を、配線形状・配線間距離という観点から評価する方法を提案した。実際にテスト回路を試作し、BER特性を測定しクロストーク雑音許容値を算出した。 平成9年度は、極微細・超低消費電力デバイスとして着目されている、単電子トランジスタ素子について「Eb/No-BER特性」が適用できる事をシミュレーション解析により示した。さらに、単一電子トンネリング現象には周辺浮遊容量の考察が必要である点を指摘し、動作温度素子寸法に関する設計指針を提案し、「Eb/No-BER特性」と合わせて超低消費電力デバイスの設計指針としての基礎を築いた。 平成10年度は、単電子トランジスタによる相補型インバータ回路(CSET)の、室温動作の可能性を「Eb/No-BER特性」から評価した。室温で通常動作させるためには、原子サイズ以下のトンネル接合を作らねばならず、現段階で作成可能な大きさではBERが0.5と最悪の値となり、室温動作CSETは困難との見解を得た。 平成11年度は、通信分野でのS/N改善法を類推し応用した「マッチトフィルタ(MF)型」CSET回路を提案した。3チップMF回路構成により、MF構成によるS/N改善による室温動作可能性は評価できた。しかしながら、トータル性能として電力遅延時間積という指標での評価では、SET回路は低温での応用に適しており、室温動作においては、他の素子より明らかな優位点はないとの結論に達した。 さらに次世代の超高速・超低消費電力シリコン集積回路に不可欠なGHz伝送高速RFバス配線の研究に着手し、高速伝送のための配線形状について知見を得た。 以上、次世代高性能素子を含む超低消費電力集積回路設計の指標として、「Eb/No-BER特性」が有効である見通しが立った。
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