研究概要 |
本研究では,構造解析の基礎方程式,釣り合い方程式,荷重-変位式を基礎とする形態解析を取り上げ,ここの形態解析の性質を明らかにし,その性質に基づく理論構成を行なうことを目的としている。平成8年8月9日に研究代表者であった,半谷裕彦東京大学教授が急逝され,研究分担者であった川口健一東京大学助教授が,研究代表者となることで研究を続行した。 平成10年度は,平成8年,9年と行なって来た今までの研究実績のまとめとして,逆変分原理に焦点をあて,不安定構造や自己釣り合い応力決定法の形態解析に関する理論の開発,特に,非線形領域における逆変分原理を定式化し,数値解析を実行した。本解析手法は、ケーブル構造などの構造形態と力の流れが密接に関わった構造物の最適化手法として優れており,特に,ケーブル構造などの自己釣り合い応力によって初期剛性が付与される,不安定構造物の自己応力の最適化に力を発揮する。本研究における数値解析においても,5つの自己釣り合いモードを持った平面ケーブル構造を解析モデルとして選定し,その最適自己釣り合いモードの割合を決定した。また、その結果を既往の文献の数値解析結果と比較し,考察を行なった。さらに,モデル実験として,形態解析によって得られた任意形態構造物のための載荷実験装置の開発を行なった。本装置は,任意形状の離散型骨組みモデルに対する載荷実験を行なうための装置であり,数トンの載荷能力がある。試験体として,異なるライズスパン比をもつ扁平単層スペースフレームモデル,さらに球面分割パターンの異なる扁平単層スペースフレームモデルを作成し,これに対する載荷実験のための装置の開発を行なった。
|