研究概要 |
本研究は、東京大学生産技術研究所 故 半谷裕彦教授を研究代表者として開始されたが、無念にも平成10年8月9田に半谷先生は急逝されてしまった。その後、研究分担者であった東京大学生産技術分究所 川口健一助教授 が引き継ぐことにより研究を継続した。その時点で既に研究は最後の仕上げの段階に入っており、川口は最後のとりまとめのみを行なった。本報告書の内容は本研究課題に対して半谷教授を中心としてまとめられた研究成果の集成となっている。 本報告書は本研究課題における研究成果を主に3つの部分に分け,それに対応した形の3つの部分からなる。第1部は逆変分原理を中心とする形態解析手法の提案であり、不安定構造や自己釣り合い応力決定法の形態解析に関する研究成果をまとめたものである。既往の文献の解析結果などと本解析手法の結果を比較している。第2部は形態解析によって得られた任意形態構造物のための載荷実験装置の開発であり、主に離散型骨組みモデルに対する載荷実験装置の開発について報告している。第3部は本研究課題遂行に到るまでの半谷教授等による発表論文等を集めたものである。主要と思われるもののみを収録した。半谷教授は、構造物の形態を解析により創生する「形態解析」という新しい構造解析の分野の確立を提唱されていた。形態解析は、解析によって得られる構造形態の「美しさ」「面白さ」或いは「意外さ」といった幅をもった人間的感性の価値基準を積極的に受け入れる点を特徴としている。厳密な最適性を追求する、いわゆる最適設計とはその点で異なる。半谷教授の人柄と研究に対する情熱、柔軟な,研究姿勢が生んだ魅力的な研究分野である。本研究も半谷教授のそのような形態解析への挑戦過程における研究テーマと位置付けられよう。
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