研究課題/領域番号 |
08405038
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
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研究分担者 |
二宮 修治 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30107718)
早川 泰弘 東京国立文化財研究所, 保存科学部化学研究室, 研究員 (20290869)
木川 りか 東京国立文化財研究所, 保存科学部生物研究室, 研究員 (40261119)
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 部長 (50099925)
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キーワード | 収蔵庫 / 室内空気 / 汚染物質 / ガスクロマトグラフィー / 質量分析 / ホルムアルデヒド / 酢酸 / アンモニア / 粉塵 |
研究概要 |
主として、空気汚染物質の同定と定量方法の選定、その発生原因、動態調査、資料への影響の調査をおこなった。換気の効果の他、除去方法についても検討を開始した。 1.空気環境の物理的調査 基準値(ガイドライン)設定の基礎資料として、中尊寺金色堂、薬師寺如来堂、平等院鳳凰堂など、実在の施設のデータを収集した。粉塵の動態調査を実在の美術館を中心に行い、粒径分布を検討するための基礎実験を行った。 2.空気環境の化学的調査 アンモニアガスの微量定量分析が可能な装置を用いて、機械空調施設のない実在の博物館内での動態調査を行った。ぎ酸・酢酸の微量定量分析と実地調査のため、情報収集と基礎実験を行った。実在の美術館内でアルデヒド類の実地調査を行い、微量分析法との整合性について検討した。発生源や動態調査には使えるものの、比色分析法を用いた簡易定量法は濃度を高めに判断する傾向があることがわかった。汚染ガスを吸着する収納箱やフィルターなどを用いた除去方法について、試験的に検討した。 3.空気環境の生物的調査 ポンプを用いて大気中の浮遊菌の捕獲と培養を試みた。市販の機器は捕獲の際の流速が大きいため、落下菌に比べて菌の生育が遅くなる傾向があることがわかった。 4.空気汚染物質の資料への影響の調査 高濃度・高湿度下でのホルムアルデヒドの日本画顔料への影響を検討した結果、鉛系の顔料と銅系の顔料に著しい変化が生じ、ぎ酸塩・酢酸塩が形成されることがわかった。 5.建材の空気汚染能調査(実験室内での模擬実験) 試験方法を設定するための基礎実験を行った。デシケーターを用いた試験方法の規格化、大気中への放散量と水による抽出結果の相関性を検討した。
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