研究分担者 |
濱田 靖弘 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (40280846)
持田 徹 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (40002050)
横山 真太郎 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90002279)
長野 克則 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80208032)
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研究概要 |
自然エネルギー・未利用エネルギーおよび蓄熱サイクルを活用したエネルギー自律型住宅と広域規模のエネルギー代謝システムの構築および総合評価を行い,以下の知見が得られた. (1) エネルギー自律型住宅における自然エネルギーハイブリッド利用の新実験と解析を行った.電力・給湯利用のためのハイブリッドコレクターを実験住宅に設置し,中間期は50〜65%,冬期においても18%と高い総合効率が得られた.また,年間サイクルを活用した低温度差輻射型暖房システムの実験では,ヒートポンプの季間成績係数は4以上で運転が行われることを示した.同時に温熱環境・空気環境に関する多点計測と評価を実施し,本実験住宅の室内環境が良好に維持されていることを明らかにした. (2) 実験住宅におけるエネルギー収支の測定を行い,自然エネルギーと未利用エネルギーによって80%の需要が賄われることを示した.このうち地盤熱利用は全体の36%を占めており,その効果は極めて大きい.従来型住宅の年間二次エネルギー消費量に対して,エネルギー自律型住宅の購入エネルギーは12.5%と高い削減効果が得られた.また,エネルギー自律型住宅の汎用評価シミュレーターを開発し,住宅仕様,設備構成およびその適正な容量を他の都市についても求め,その省エネルギー性と環境保全性を評価した結果,本州地域においてもエネルギーの自給化を達成し得ることがわかった. (3) 地域熱電併給による広域型エネルギーシステムの導入効果検討プログラムによって,その省エネルギー性評価を行った.住宅面積比率の高い地域においては,年間一次エネルギー削減率は7〜12%の範囲となった.また,熱負荷密度の大きい地域においては13-23%と高い導入効果が得られることを示した. (4) コミュニティーにおけるエネルギーの有効利用をめざした地下帯水層による長短期蓄熱サイクルに関する実験と評価を行い,帯水層内における熱利用時の自然対流の発生条件を定量的に求めるとともに,その熱回収効率に及ぼす影響について示した.地下帯水層による蓄熱効率は,長短期サイクルの観点から非常に高いことが実験によって明らかとなったが,投入温度が50℃を越える高温蓄熱時には,自然対流の影響を考慮した設計が必要となることを示した.
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