研究概要 |
本研究では、超高温用複合材料のマトリックスとして可能性の高いNb-xMoおよびNb-xTa(x=0,20,40mol%)2元系固溶体合金の単結晶を作製し、77から1773Kまでの温度範囲で圧縮変形挙動を調べた。本研究によって得られた結果は以下のようにまとめられる。 (1)Nb-Mo合金は全温度域で固溶強化を示すが、Nb-Ta合金は約1100K以下ではTaによる固溶強化を示さない。Nb-Mo合金およびNb-Ta合金の格子定数の精密測定の結果、このような固溶強化の違いはNbとMoまたはTaとのサイズミスフィットによって、矛盾なく説明される。 (2)Nb-Ta合金の約1100K以下での降伏応力は、侵入型元素濃度、特に酸素濃度の増加にともない著しく上昇する。 (3)Nb-20Mo合金では、酸素濃度の増加による降伏応力の増加は高温まで保たれ、1473Kにおいても顕著な降伏応力の増加が見られる。 (4)Nb-Mo合金では、中間温度域で変形応力の負のひずみ速度依存性が現れ、PL効果によるセレーションが観察される。このセレーションの発現は、Mo組成と酸素濃度に影響される。一方、変形応力の負のひずみ速度依存性およびセレーションは、Nb-Ta合金には現れない。以上の結果から、Nb合金の高温変形には、侵入型不純物原子と置換型溶質原子の相互作用が深く関与していることが示唆される。
|