研究概要 |
Nb-20Mo,Nb-20Mo-10Wの定応力圧縮クリープ試験を行った結果は以下のようにまとめられる. 1.クリープ試験 1)1573-1773Kでは、Nb-20Mo-10WはNb-20Moよりも高いクリープ強度を示す. 2)Nb-20Moの定常せん断ひずみ速度における応力指数nは、低規格化応力域においてn=3,高規格化せん断応力域ではn=5を示す.また,Nb-20Mo-10Wでは,n=5を示す. 3)Nb-20Moの1573-1773Kにおけるクリープ之拡散係数Qは,Q=555kJ/molである。この値はNb中のMoの拡散の活性化エネルギーに近い.一方,Nb-20Mo-10Wでは,Q=65kKJ/molであり,この値はNb中のWの拡散の活性化エネルギーに近い. 2.クリープ変形試料の電子顕微鏡観察 1)Nb-20Moでは,n=3のべき乗則に従う領域において、転位の回復による組織が観察される.n=5の領域では,サブバウンダリ-が形成されており,転位の回復と均一に分布する転位組織が観察される. 2)Nb-20Mo-10Wでは,n=5の領域で,主すべり面上に均一に分布した転位組織が観察される. 3)n=5の領域では,均一に分布する転位のバーガースベクトルbは,主にb=1/2<111>,b=<001>と決定される.また,これらの転位は刃状転位成分が支配的である.さらに,その他のbをもつ転位も観察される. 4)以上の結果から,Nb-20Mo-10Wのn=3の領域では転位の上昇運動,n=5の領域では転位の上昇運動と粘性すべりがクリープ変形を律速している.一方,Nb-20Moのn=5の領域では,刃状転位の粘性すべりがクリープ変形を律速している. 5)上記1),2)の結果から,Nb-20Mo-10Wのクリープ強度の上昇は,Wの拡散に支配されて転位の粘性すべり抵抗が上昇するためであると考えられる.
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