研究概要 |
821784 Nb-TaとNb-Mo単結晶の降伏応力の温度依存性を酸素(O)濃度の関数として調査したところ,低酸素濃度の合金においては,Ta添加では全く固溶強化しないが,MO添加では著しく強化することが分かった.これは,Nb-TaとNb-Moのサイズミスフィットの違いで説明される.一方,酸素添加したNb-TaとNb-Moはいずれも著しく強化されるが,Ta+OまたはMO+Oの複合添加により,それぞれを単独に添加するよりさらに強化することが見出された.この結果は,置換型元素(substitutional,TaまたはMO)と侵入型元素(interstitial,O)の相互作用(i-s interaction)で説明される. 電子顕微鏡観察結果によれば,室温から中温度域での変形組織においては,Nb-Ta-O,Nb-Mo-Oいづれにおいても,直線的に長く伸びたらせん転位が支配的であり,酸素とらせん転位の相互作用の存在が示唆される.降伏応力とすべり面の方位依存性に及ぼす酸素濃度の影響を調べることにより,酸素がらせん転位芯と相互作用することを明らかにした.Nb-Moの高温域での変形組織においては,刃状転位が支配的であり,刃状転位と酸素との相互作用が変形を律速している.内部摩擦測定による酸素の拡散の活性化エネルギーの測定および微少塑性領域での変形挙動の調査から,酸素とMoのi-sinteractionが実証された.
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