研究概要 |
Nb基in-situ複合材料を開発するための基礎研究として,Nb固溶体の高温変形挙動を単結晶を使って調査した.固溶強化を調べるための代表的固溶体合金として選んだのは,Nb-TaとNb-Moで,その理由は,Nbに対してTaはサイズミスフィットおよび剛性率効果が小さいこと,Moはサイズミスフィットおよび剛性率効果が大きいこと,さらに,Ta,Moともに不純物元素に対する清浄化作用がないため,固溶強化の本質を明らかにできることである. Nb固溶体の固溶強化は,Nb-Ta,Nb-Moともに,室温から中温域ではサイズミスフィットとi-s interaction(侵入型元素-置換型元素相互作用)によって支配される.電子顕微鏡観察結果によると,変形組織には直線的に長く伸びたらせん転位が支配的であり,酸素(Ta-Oまたは陽Mo-O)とらせん転位の相互作用が存在することを意味する.この相互作用は,降伏応力およびすべり面の方位依存性において,酸素濃度に依存した顕著な異方性が現れることからも確認された.一方,中温域以上では,Nb-Ta-Oの強度は温度上昇とともに急激に減少するのに対し,Nb-Mo-Oでは1500K付近まで高強度が保たれる.Nb-Mo-Oの変形組織には刃状転位が支配的に観察され,酸素(Mo-O)と刃状転位との相互作用が存在する.内部摩擦測定により,室温から中温域では,i-s効果によるTa-OまたはMo-OのSneok雰囲気とらせん転位との相互作用が,高温域では刃状転位とMo-OのCottrell雰囲気との相互作用があることが実証された.
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