研究課題/領域番号 |
08405046
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邊 忠雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40005327)
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研究分担者 |
趙 驤 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60271871)
連川 貞弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40227484)
藤野 豊 東北大学, 留学生センター, 教授 (60005402)
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キーワード | 微細粒多結晶 / 粒界性格分布 / 粒界制御 / 電子線後方散乱回折法 / 磁場 |
研究概要 |
本研究は微細粒多結晶材料中に存在する粒界の性格・構造およびその分布、いわゆる「粒界性格分布」を実験的に評価し、粒界設計制御に基づき、従来の多結晶材料に見られない安定した組織と諸性質を発現させるための界面アーキテクチャの確立を目指しているものである。当該年度に得られた結果の概要は以下の通りである。 1.FE-SEM/EBSP法による粒界解析手法の確立 従来、多結晶材料の結晶方位解析にはECP法が用いられてきたが、粒径が約10mmの結晶粒の解析が限界であった。しかし、最近開発された電子線後方散乱回折法(EBSP)によるオンライン結晶方位解析装置(OIM)とFEーSEMを組み合わせることにより、さらに高い空間分解能を得ることが可能となってきている。当該年度は、本システムの信頼性の確認、性能のチェック及び問題点の抽出を行った。得られた結果の一部は以下の通りである。 (1)粗大粒Mo多結晶を用いてFE-SEM/EBSP/OIM法による解析とECP法による解析結果を比較したところ、両者の結果はほぼ一致し、OIMによる解析結果の信頼性が確認された。 (2)結晶粒径0.2〜0.3mmのFe-S微細結晶粒の解析が可能であった。 (3)平均結晶粒径1mmのβ炭化珪素の粒方位解析が可能であり、セラミックス超塑性の研究への応用も期待できる。 2.磁場作用を利用した強磁性体の組織制御 磁場作用を利用した粒界組織の制御方法の開発を目指して、純鉄圧粉体の焼結過程における磁場作用の効果について検討した。純度99.9%のカーボニル鉄粉を圧縮成形後、15KOeの磁場中での焼結を行った。その結果。磁場の作用により焼結が促進されることが明らかとなった。また、FE-SEM/EBSP法による解析の結果、磁場中の焼結により、小角度粒界とΣ3対応粒界の存在頻度が増す傾向にあることも見出されている。ただし、現段階(焼結中期)では、磁化容易方向への集合化は顕著には起こっていない。粒成長が起こる焼結後期では印可磁場と磁化容易方向が平行な特定の結晶粒の成長が優先的に生じ、集合組織化している可能性もあると推察される。
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